小学生、子供が主人公のおすすめミステリー・ホラー小説10選

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今回は子供が主人公のミステリー・ホラー小説を紹介したいと思います。

児童書ならもちろん子供が主人公ですが、大人が読んでも楽しめるもの、大人向けに書かれた小説で選びました。

大人にとっては何でも無い出来事でも、子供にとっては大問題だったりしますよね。そんな子供ならではの視点の面白さってあると思うんです。
ほのぼのするものから怖いものまで、テイストは様々。長編、短編の区別もありません。子供が主人公で面白いと思ったものを選んでいます。
ミステリとしても楽しめるジュブナイル小説。登場人物は小学五年生の子供たちで、田舎町を舞台にした成長譚として楽しめます。

主人公は幼少期に不思議な体験をしており、ずっと謎だったその出来事の意味が、最後に明らかとなります。なのでミステリとしても楽しめますね。

基本的には、やんちゃな子供たちの日常を描いた成長譚。爽やかで清々しく、ジュブナイル小説に求めるものが詰まっています。
小さな子供でも安心して読めるし、大人が読んでもどこか懐かしい気持ちになれる良作。
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『虹果て村の秘密』 有栖川有栖

ミステリ重視のジュブナイルならこちらがおすすめ。著者は本格ミステリ作家として有名で、この小説でも本格ミステリの面白さが遺憾なく発揮されています。
山奥の村で起きた事件を、十二歳の男子と女子のコンビが解決します。事件は本格ミステリの王道である密室殺人。子供向けということもあって、陰惨な描き方はされていません。
登場人物はいい人ばかりだし、雰囲気も終始明るいです。子供が読んでも問題ないし、怖いのが苦手な人にもおすすめ。

『サボテンの花』 宮部みゆき (『我らが隣人の犯罪』内収録)

卒業を間近に控えた六年一組の子供たちが、毎年恒例となっている卒業研究のテーマに選んだのは、サボテンの超能力だった。
何故こんな滑稽なテーマにしたのか。そこにはある理由が隠されていた。
読んだ後ほっこりするような、心温まる短編ミステリです。結末に予想はつくものの、好感度の高い優しい話。
心が荒んだ時なんかに読み返したくなります。

『女王はかえらない』 降田天

小学校での権力争いの末に、重大な事件が起きるミステリ作品。大胆なトリックが使われていると話題になりました。
小学生編と大人編に別れていて、小学生編は面白いのですが、真相が分かる大人編はあんまりでした。ミステリを読み慣れた人の場合、トリックの予想はつくかもしれません。
小学生たちの権力争いの様子が面白く、読み応えがあります。それにキャラも立っています。
子供ならではの残酷さと陰湿さがあって、どろどろしたのが苦手な人は嫌な気分になる可能性も。嫌ミスが好きな人におすすめですね。
些細なところを攻撃対象にするところなど、思わず顔を歪めてしまいます。

『神様ゲーム』 麻耶雄嵩

小学生たちで結成された少年探偵団の話。彼らのアジトで友人の遺体が発見されます。しかも現場は密室という不可解な状況。バリバリの本格ミステリですね。
この小説の特異な点は、神様が登場すること。主人公は事件の真相を神様に尋ねます。神様が答えたのは、俄には信じられない真相です。
この神様の言うことは絶対に正しいという設定なので、読者も混乱すること必至。

作者の麻耶雄嵩は本格ミステリの書き手で、人を食ったような作品を多く描いています。本作も一筋縄ではいかない話。意味が分かると怖い話みたいな感覚を味わえます。

結末はかなりブラック。一風変わったものを読みたい人におすすめです。

『僕の神さま』 芦沢央

この小説にも皆から神さまと慕われる小学生が出てきます。ただ、こちらは頭脳明晰な普通の人間。学校で起きる様々な謎を解決する連作短編集です。
日常の謎系ではありますが、メインのエピソードは重い。児童虐待の問題を扱っていて、ほのぼのするタイプとは違うので、そこは注意ですね。
ミステリとしては小粒。それは否めません。でも、それぞれの謎は当事者の小学生にとっては、大問題なものばかり。そう考えるとリアリティがあって、話としては楽しめます。
ページ数が少な目なので物足りなさが若干ありますね。逆に時間が無い時にサクッと読みたい場合に向いてます。

『向日葵の咲かない夏』 道尾秀介

小学生の男児が主人公のホラーミステリ作品。ダークファンタジーと言った方が適切かも。
主人公が学校を休んだ同級生の家に行ってみると、その同級生が首を吊っている姿を発見する。慌てて先生を呼んで戻ってみると、死体は忽然と消えていた。
その後、死んだはずの同級生の生まれ変わりが現れ、自分は何者かに殺されたから一緒に調査してほしいと頼まれる。こうして主人公は、妹と共に真相究明へと乗り出します。
この小説は一風変わった話を読みたい人向け。世界観は特殊ながら、ぐいぐい読ませる力があり、物語にすんなり入っていけます。
違和感を覚える部分も、最後にちゃんと回収され破綻してません。ただ、賛否両論あって好みが分かれるのは確か。

『夏と花火と私の死体』 乙一

仲良し兄妹とその友達の女の子は、いつも一緒に遊ぶほど仲が良かった。だがある日、ほんの些細なことがきっかけで事件が起きてしまう。女の子が死んでしまい、兄妹はその死体を隠そうとするのだが――
この小説が特異なのは、物語の語り手が死体ということ。その特異性と幼い子供の語り口によって、本来なら陰鬱になるはずの話なのに、どこかお伽噺めいた感があります。
これはとても上手いやり方ですね。独特で不思議な読み味になっていて、印象に残ります。ミステリとしてのオチもちゃんと用意されてるし、この小説を高校生の時に書いたというのが本当に驚き。
長編ですがページ数は短めでサクッと読めるので、興味を持った方はすぐに読むのをおすすめします。

『八幡の藪知らず』 三津田信三 (『ついてくるもの』内収録)

悪ガキ小学生たちが、興味本位で禁忌の森へ足を踏み入れ、恐ろしい目に遭う短編ホラー。心霊系の怖い話を読みたい時におすすめ。

森の描写からは怖さが伝わってくるし、不条理な結末もホラーらしくていい。救いがないので、怖いのが苦手な人は読まない方がいいです。

小学生たちの人間関係の描き方が上手く、本当は怖いのに強がってしまう、その引くに引けない感じとかよく理解できます。
森の名称や当て字のセンスにも安定感があります。意味深で禍々しさがあって、興味をそそられます。こういうのは物語の雰囲気に直結するので重要。
尚、著者の三津田信三は、刀城言耶シリーズでも村の名前や地名でネーミングセンスを発揮しています。本格ミステリが好きな人は、是非手に取ってみて下さい。

『お母さまのロシアのスープ』 荻原浩 (『押し入れのちよ』内収録)

異国が舞台の家族の話。ひっそりと慎ましく暮らしていた一家の元へ、ある日、軍人がやって来ます。そして衝撃の展開を迎える。
これはかなり衝撃的な作品。ある意味怖いですが、幽霊やグロとかの話ではないです。幼い子供の一人称で語られており、無垢な少女は何も知らず、起きていることをありのままに描写しています。
読者はそれが意味する本当のところを理解でき、幼い語り口と現実とのギャップに切なくなる。
やるせない気分になりながら読み進めて行くと、最後に思いもよらぬ展開が待っています。伏線はちゃんと張られているのに、僕はまったく気付きませんでした。
かなりインパクトの強い作品ですね。

あとがき

こういうテーマでまとめられたものって、意外と少ない気がしたので作ってみました。
子供には子供の事情があるんですよね。自分もかつてそうだったくせに、大人になると忘れがちです。ここに挙げた作品を読むと、そのことを思い出させてくれます。
読書選びの参考になれば幸いです。

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