ミステリーランド 『虹果て村の秘密』有栖川有栖

cloud-346706_640

感想 ★★★★★
人気本格ミステリ作家・有栖川有栖が書いたジュブナイルミステリ。ジュブナイルと言えども、有栖川有栖らしさが存分に発揮されています。ロジックは本格ミステリのそれ。
なので、子供にとっての本格ミステリ入門として最適ですね。もちろん大人が読んでも面白い。
ジュブナイル小説で本格ミステリをやる、というテーマと照らし合わせると、申し分ない作品だと思います。
スポンサーリンク

あらすじ

十二歳の上月修介と二宮優希は、人里離れた山奥にある虹果て村に向かった。優希の母親の別荘がそこにあって、夏休みを共に過ごすことになったのだ。
優希の母親は推理作家で、推理作家になるのが夢の秀介はウキウキだった。虹果て村に伝わる伝説を教わりながら村を巡り、二人とも自然を満喫していた。
しかしある夜、殺人事件が起きてしまう。しかも密室という不可解な状況で。
刑事になるのが夢の優希は、何かと捜査に首を突っ込み、トリックに詳しい修介に
助言を求める。
果たして、小さな探偵コンビはこの不可解な謎を解けるのか。
スポンサーリンク

感想

あらすじを見てもわかる通り、王道の本格ミステリです。不思議な言い伝えの残る山奥の村、密室殺人、クローズドサークル。
本来なら陰惨になりがちな話も、ジュブナイル小説なので暗い雰囲気はありません。怖いのが苦手な人や子供でも安心して読めます。本当にいい人しか出て来ない。
重い話を読んで疲れた時や、優しい世界に浸りたい時なんかに最適ですね。
謎解きのロジックも煩雑ではないので、ミステリを読み慣れてなくてもすんなり理解できると思います。

密室事件

メインの謎は密室殺人です。中から閂が掛けられた部屋で死体が発見されます。撲殺されており、明らかに他殺。

どうやって密室にしたのか、なぜ密室にする必要があったのかが謎の焦点となります。さらに犯人候補にはアリバイがある。

ジュブナイルミステリといえど、ロジックに抜かりはありません。偶然に頼るのではなく、些細な矛盾点から事件は解決します。

あとがき

終始爽やかで読後感もよく、ジュブナイルミステリというテーマ通りの作品でした。
そういう意図の作品ゆえに、驚きや意外性は低いですが、本格ミステリの面白さは存分に感じられます。
入門書として申し分ないですね。おすすめです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました