イヤミス好き必見。後味の悪いおすすめミステリー小説10選

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ミステリー小説は殺人など犯罪を扱う性質上、負の要素があるのは否めません。

今回はそんなミステリーの中でも、格段に後味の悪い小説を10作紹介したいと思います。
嫌な気分になると言っても、小説としては面白いものばかりなのでご安心を。ミステリの醍醐味を存分に味わえます。
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『告白』 湊かなえ

娘を亡くした教師が、教え子の中にいる犯人を探し出す話。
もはや説明不要の大ヒット小説。イヤミスと聞いて真っ先にこの小説を思い浮かべる人も多いんじゃないでしょうか。
思えばイヤミスという用語は、この小説から使われ出した気がします。もちろん、嫌な気分になるミステリーは昔からありましたけどね。
本作は終始鬱屈した空気でイヤミスに違いない。でも後味に関してはどうでしょうか。むしろ爽快に感じる人もいるかもしれませんね。
この小説は特に十代の若い人におすすめ。ヒットしたのが10年以上前なので、まだ読んでない、あるいは存在を知らなかったという人もいそうです。
連作短編形式でページ数も多くないし、学校が舞台なので読みやすい。本はやはりいつ読むかで感じ方が変わるので、十代でこの小説を読むチャンスを逃す手はないと思う。
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『ボトルネック』米澤穂信

高校生が主人公の青春ミステリ。といってもミステリ要素は薄く、古典部シリーズのような爽やかさも皆無。
崖から転落したことにより、主人公は平行世界に行ってしまう。そこは自分が生まれなかった場合の世界で、自分がいない方が家族関係や何もかもが上手くいっているのを知るはめになる。
主人公が絶望していく様を一人称で書いているため、陰鬱な気持ちになるのは必至。
自分が生まれなかったらどんな世界だったのか――これはおそらく誰もが一度は考えることで、興味深いテーマです。
実際にその世界を見た結果、そっちの方が目に見えて素晴らしかったら、その絶望は計り知れない。
物語の結末も重いので、最後まで爽快感がありません。今回の選出にピッタリの小説。
鬱な気分になりたい時にどうぞ。

『ロートレック荘事件』筒井康隆

夏のバカンスを過ごすために、瀟洒な洋館に美男美女が集まった。いずれも将来を約束された者ばかり。そんな中で連続殺人事件が発生する。
SF作家の筒井康隆が、王道の本格ミステリーに挑んだ異色作。
斜め上の発想で数々のSF短編を書いている筒井康隆らしく、奇想天外なトリックが使われています。
その奇抜なトリックで話題に上ることが多い作品ですが、個人的にはトップクラスの後味の悪さ。読み終わった後、気分が沈むことは避けられないでしょう。

『仮面山荘殺人事件』東野圭吾

山奥の山荘で余暇を楽しんでいたグループの元に、逃走中の強盗犯が侵入し占拠される。やがて殺人事件が発生するも、状況を鑑みると強盗犯に犯行は不可能だった。
混乱に乗じてグループ内の誰かがやったに違いない。殺人の濡れ衣を着せられたくない強盗犯も一緒になって、犯人捜しに乗り出す。
東野圭吾の新本格ばりのトリックが使われた作品。東野作品なので安定して読み易いし、最後に驚きの展開が待ち受けています。万人におすすめですね。
僕は真相が明らかになった後の、痛みの方が印象に残っています。何とも言えないやるせない気持ちになりました。ある人物の思いが悲しすぎる。

『頼子のために』法月綸太郎

物語は娘を殺された父親の手記から始まる。そこには犯人を見つけ出して殺すと書かれていた。内容の真偽を確かめるために、探偵が調査を開始する。
手記のパートと、探偵が捜査するパートの二つで構成されています。作品内に手記があるミステリは、ほぼ間違いなく何かしらの仕掛けが施されているもの。
本作もご多分に漏れずトリックが使われているわけですが、それよりもストーリーの重さが印象に残っています。
おそらく想像する中で一番嫌な展開、結末を迎えます。読み終わった後、かなり気分が沈みましたね。
作品の出来はというと、法月綸太郎らしく緻密に練られた作品で、話に矛盾はなくミステリとしても
小説としても楽しめます。

『生首に聞いてみろ』法月綸太郎

有名な芸術家の遺作となる石膏像の首が、何者かに切断され持ち去られた。この石膏像は芸術家の娘がモチーフのため、彼女への殺害予告ではないかと憶測が飛ぶ。
彼女の身を案じた叔父は、著名な探偵に調査を依頼する。
2005年に〝本格ミステリ大賞〟と〝このミステリーがすごい!大賞〟をダブル受賞した作品。
それも納得の完成度の高さ。物語は淡々と進んで行き、丁寧に描かれている印象。結末にはミステリとしてのカタルシスを感じる一方、とても悲しい気持ちになります。
こういう家族の問題が絡む重い話は、読後に気分が沈んでしまいますね。
あまり動きがなく進んで行くため、ページを繰る手が止まらないタイプの話ではないです。加えてページ数も多めなので、じっくり読みたい人向け。
ちなみに文庫本の巻末には、法月綸太郎と貴志祐介の対談があって、創作について
あれこれ語っていて面白いです。

『悲しみのイレーヌ』ピエール・ルメートル

人もまばらな郊外の住宅で、若い女性二人の惨殺遺体が発見される。その犯行方法から過去の未解決事件との繋がりが判明。長年に渡って犯行を繰り返す異常者を捕まえるべく、頭脳明晰な担当警部があらゆる手を尽くすのだった。
『その女アレックス』で知られるシリーズの1作目。最初から最後までグロ描写のあるサイコミステリです。
とにかく多くの人間が無惨な殺され方をします。サイコミステリなのでそういうものとも言えますが、
海外作家はその辺りが容赦ない。
救いのないラストゆえ、後味が悪くなるのは間違いありません。
そして、もし『その女アレックス』を先に読んでいた場合、二重の意味で嫌な気分を味わうはめになるので、要注意です。

『殺戮に至る病』我孫子武丸

猟奇殺人を繰り広げるサイコキラーの話で、犯人視点で話が進む倒叙ミステリ。異常者が次々と女性を殺していきます。
後味が悪いと言われてこの小説をはずすことはできませんね。トリックが凄いことでも有名で、まんまと騙された時のカタルシスはすさまじい。

だが、それも一瞬のこと。その後にやってくる後味の悪さも半端ないです。
ストーリーも病的だし、グロシーンきつめなので、苦手な人は避けた方がいいです。逆に言うと、嫌な小説を読みたい人には最適。

『魔女は甦る』 中山七里

閉鎖された薬物研究所の近くで、元研究員が無惨な死体となって発見される。時を同じくして、無差別事件なども起きており、捜査を進める内に驚くべき真相が明らかになる。
グロ描写ありのパニックホラーです。序盤はミステリーテイスト、後半はアクションありのパニックホラー映画のような感じ。
この小説を選んだのは、宮條という刑事のエピソードが壮絶だったから。暴力団と麻薬に関する話で胸くそ悪くなります(批判しているわけではなく、それだけよく書けているという意味)。
暴力団と麻薬という現実に存在するものだけに、もしかすると、こんな事件もあるのかなあ、なんて気がして嫌な気分になります。

『グロテスク』 桐野夏生

イヤミスといえば桐野夏生というイメージが僕にはあって、中でもこの小説は読んでいて終始気分が沈みました。
実際にあった東電OL殺人事件から着想を得たというのもあり、リアリティがあるんですよね。

端から見れば恵まれているように見える女性が、なぜ娼婦となって殺されるまでに至ったのか。それを桐野夏生の筆致で物語にされています。リアルな重い話を求めている方、東電OL殺人事件に興味がある方におすすめ。

尚、桐野作品は同じように実話を元にしたイヤミスが多いので、その手の話が好きな人は、漁ってみると幸せになれます。

あとがき

いかがだったでしょう。本格ミステリ、サイコホラー、実話を元にした話など、様々なジャンルから集めてみました。どれも読み応え抜群でおすすめです。

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