
ホラー小説が好きな人で貴志祐介を知らない人はいないでしょう。それぐらい有名な作家さんです。
映像化も多くされているので、作家は知らなくても作品は知ってるという人はかなり多いはず。『青の炎』、『黒い家』、『悪の教典』などの原作者です。
貴志祐介は『十三番目の人格 ISORA』でホラー小説大賞を受賞し、デビューしました。多重人格の恐怖を描いた作品です。
正直この作品は並の出来だと思いますが、ここから数々の傑作を生み出します。ホラーだけでなくミステリーやSFを描いており、そのいずれもが高クオリティという凄い人。
いろんなジャンルを書いてますが、やはりホラーに良作が多いです。
天使の囀り
年齢も職業も様々な人が異常な方法で自殺を遂げる。これはいったい何なんだと調査を進めると、意外な真実が隠されていた――というお話。
グロが苦手な人は読まない方が良いかもしれません。猟奇的なタイプのグロではないですが、ラストシーンは結構きつい。ネタバレになるので描けませんが、主人公と一緒に叫びそうになりましたね。
有名な『黒い家』や『悪の教典』も面白いのですが、僕は『天使の囀り』が一番ゾッとしました。
クリムゾンの迷宮
もう一冊、ホラーで同じくらいおすすめしたいのが『クリムゾンの迷宮』。
この小説はいわゆるデスゲーム系で、目覚めると謎の場所にいた主人公が生き残りをかけて戦う話。数多くあるこの手の作品の中で、本作が一番面白いと思います。
これはもう純粋に楽しめるエンタメ作品。なんでこうなったとかあまり深く考えず、状況や展開の面白さを楽しむための本ですね。
細かいところまで整合性を求めるのは野暮というか、損だと思います。ハリウッドのエンタメホラー映画を観るのと同じような感覚ですかね。デスゲーム系が好きな人は必読の一冊。
新世界より
『新世界より』はSFといってもファンタジーの要素が強いです。
ハードSFのような科学的な難しさはないので、普段SFを読まない人でも問題なく楽しめます。
1000年後の日本が舞台で、主人公たちが12歳、14歳、26歳の頃のエピソードが語られます。子供たちの成長を通して、世界の秘密が明らかになる壮大な物語。
ラストの戦争シーンには迫力があるし、見所満載。大傑作SF長編ですね。
蒼の炎
『青の炎』はミステリのジャンルに収まりきらない文学的な小説。
家族を守るためにやった犯罪、それを隠すための嘘。どうにもならない状況に追い込まれ、苦悩する少年の姿は胸に迫るものがあります。
そして、そういう悲しくて切ない話でありながら、ミステリとしての面白さもちゃんとあるのが凄いところ。
間違いなく青春ミステリの傑作。読み終わった後、いろいろ考えさせられますね。
あとがき
寡作なところがファンとしては残念なところですね。ただ、その分、完成度が高いので読んだ後の満足感が凄い。
初期作品はどれを選んでもハズレがないです。作品数もそれほど多くないので、デビュー作から全部読んでいくのもありですね。







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