
感想 ★★★★★
非常に評価の高いホラー小説。ちゃんと怖さを感じられるのがその理由でしょう。ただ好みは分かれそうです。
恐怖を感じると言っても、幽霊が出てきてゾッとするってタイプじゃありません。生理的な嫌悪を抱くタイプの恐怖です。
こういうのが苦手な人は途中でギブアップするでしょうね。スプラッターのようなグロさではないので、その点はご安心を。
あらすじ
主人公は精神科医の北島早苗。彼女の恋人の高梨は死を異常に恐れる人間だったが、アマゾン調査隊に参加してから別人のように変わった。
早苗はそのあまりの変貌ぶりに奇妙なものを感じていた。そんな矢先、高梨は死に魅せられたように自殺してしまう。さらに、調査隊の他のメンバーも自殺しているのが判明する。
アマゾンでいったい何が起きたのか。高梨が死に際に残した「天使の囀りが聴こえる」とはいったいどういう意味なのか。早苗は恋人の死の真相を探るために調査する。
感想
設定がまず魅力的でした。自殺の兆候はないのに次々と自殺していく。その原因がどうやらアマゾンにあるらしい。この謎に興味を惹かれました。
登場人物たちが次々と自殺するわけですが 、その方法が尋常ではない。よくこれだけたくさん思いついたものだと、感心してしまいました。
どれも怖気をふるうものばかりで思わず顔を顰めてしまう。一人一人のエピソードが丁寧に描かれているのもポイント。それにより恐怖が深まります。
一連の自殺の原因は中盤あたりで判明しますが、むしろ、それがわかってからが本編といえるかもしれません。
生理的な嫌悪を感じるタイプと書きましたが、それだけではありません。精神に迫ってくる怖さも感じられて、この自殺を引き起こす原因は、ある意味一番タチが悪い。
そして迎えるクライマックス。一度読んだら二度と忘れられないシーンが訪れます。
主人公たちがセミナーハウスに侵入するシーンは、すさまじいものがありました。大袈裟でもなんでもなく、自分がこの主人公だったらと思うと、発狂してしまいますね。
それぐらい嫌悪感を抱くシーンで、これはちょっと凄いです。よくこれほど嫌な感情を抱かせるなあと、一周回って感嘆してしまいます。
あとがき
いやあ、思い出しただけできついですね。ホラー小説が好きな人は読んで損はない作品。でも虫系が苦手な人は絶対止めておいた方が良いです。読んだのを後悔するのは確実。
『天使の囀り』とはよく言ったもので、タイトルのセンスも半端ない。



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