大ヒットホラー『変な家』雨穴をミステリ読みが読んだ感想

 

感想 ★★★☆☆

間取りを題材にして大ヒットとなった本作。今更ながら読んでみました。

雨穴氏の動画は昔見たことがありますが、小説版の予備知識はないまま読み進めました。

完全にホラーと思っていたのですが、どうやらミステリのようでした。面白いと思う部分はあったものの、思っていたのとちょっと違ったのも確か。絶賛したくなるほどではなかったです。

ただ、サクサク読めて楽しめたし、ヒットしたのも頷ける作品ではありました。いろんな要素が相まってそうなったと思うので、その辺りは感想部分にて。

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あらすじ

フリーライターの著者はある日、友人からこの家を買うべきだろうか? と相談を持ち掛けられる。その友人は家の間取りに不審な箇所があって購入を躊躇っているのだ。

間取り図を見てみると、確かに何のために存在するかわからない謎の空間がある。

著者は知人である設計士・栗原にこの間取り図を見せて意見を聞くことにする。いったいこの謎の空間は何なのか。何のために存在するのか。

栗原から返ってきた答えは驚くべき可能性だった。そしてこの家を調べる内、予想外の事態へ巻き込まれていくのだった。

 

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感想

まず内容に関して言うと、思っていたのと違いました。僕は勝手に連作短編集だと思い込んでいました。

youtubeにある動画のような感じで、不思議な間取り図をいろいろ見ていき、その奥に潜む奇妙さ、怖さを見ていく作品だろうと。

しかし予想に反して本書は、最初の家の謎が敷衍していく長編でした。詳しく調べる内に、どんどん予想外の新事実が判明し、思いも寄らぬ事態に発展する構造。

あ、そういう感じなんだと、ここでまず認識の違いを感じた。

そしてさらに展開の飛躍の仕方にも驚きました。戦前からの因習が絡んでくる壮大な話になります。

まさかこういう現実離れした方向に進むとは思っていなかったので、え、そっち側にいっちゃうのと戸惑いを覚えたのも事実。

僕は決してそういう話が嫌いなわけではないです。むしろ好きな系統。因習が絡むホラーやミステリは大好物です。

ただ、やはり日常に即したリアリティを期待していたので、何かしっくりこなかった。

いろいろな間取りを見ていき、もしかしたらこういう可能性もありそう、いや、ああいう秘密が隠されているのでは、みたいなリアリティを感じるものを期待していた。

もしかしたら実際にあり得るかも、と恐怖を感じられるようなものを。

もちろん、本書が荒唐無稽と言うつもりはありません。こういうことがあり得る可能性もゼロではないでしょう。

でも最初にあったリアリティが薄まったのは間違いありません。

せっかくフェイクドキュメンタリーという形式をとっているのに、現実感が薄まるのはどうなんだろうと思ってしまう。

普通の小説形式でよかったのではという気がしてくる。

そしてこういう話をやるならページ数、というか文字数が足らないと思いました。

因習をやるなら、それに説得力、重み、深みを持たせるために文字数が必要だと感じました。本書は文字数が少ないのが特徴だから、そういう意味でもあまり相性がよくなかったように思う。

少ない文字数で複雑に絡まり合った家系を説明するのは難しいと感じた。唐突に感じる部分もあったし、作り物めいた感が出てしまう。

因習ものミステリとしてみるともう少し情報量が欲しかった。

それと最後のどんでん返しは必要だったのか……という気がしなくもない。どんでん返しの連続みたいな作品はいっぱいありますが、せっかく上手く着地したものをダメにしてしまう危険性も秘めているし、一つの結末じゃ自信がないのかなあという印象も与えかねない。

ということで絶賛できるほどではなかったです。

ただ面白いと感じる点は多々あって、間取り図の謎と理由ついてはとても興味深かった。間取り図ミステリーという謳い文句に嘘偽りはないです。

非常に面白い切り口でした。発想、アイデアが素晴らしいですね。

本格ミステリでも屋敷にギミックを施した作品はよくありますが、それらと比較しても引けをとりません。派手さはないし、見せ方の方法で印象は変わりますが、アイデア自体はユニークで面白いです。

いろいろ不満点をあげましたが、楽しく読むことができました。

次に、ヒットしたのも頷ける理由ですが、まず読み易さが挙げられます。

ページ数は256ページながら文字数は極端に少ない。図が多く挿入され、インタビュー形式なのでサクサク読めます。

普段小説を読まない人もストレス無く読み進められるでしょう。これは非常に大きな要因。普段本を読まない人に読んでもらわないと、大ヒットにはなりませんからね。

現代は映画を倍速で見る、なんてことが議論になるくらいですからタイパは重要な要素なんでしょう(僕はじっくり作品世界を堪能したい派ですが)。

そして著者についてるファンが多いというのも挙げられます。youtube登録者数188万人(記事執筆時)は凄まじい数字。

ただ読みやすいだけじゃダメだし、ただ登録者が多いだけでもダメ。この二つが両方合わさってるのが凄い。

加えて題材が間取りというのもいい。誰もが身近に感じられ、実話怪談的な興味を惹かれます。ヒットすべきしてヒットした作品と感じますね

 

あとがき

本書の大ヒットは上記に挙げたような様々な要因が合わさってのことと思います。

僕の思っていたタイプとは違いましたが、作品単体としても面白い要素がいろいろあり、多くの人に読まれるのも納得の作品でした。

続編も楽しみですね。

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