『十三番目の人格 ISOLA』 貴志祐介 

感想 ★★☆☆☆

人気ホラー作家、貴志祐介は『黒い家』でホラー小説大賞を受賞しデビューしましたが、本作はそれより前に書かれた作品。本作で佳作を受賞し、その後に大賞を受賞しています

正直、他の貴志作品と比べると劣ります。他のを読んだ後に本作を読むと、普通という感想になると思う。

処女作なのでまだ文章に手慣れた感はなかった気がしますが、読みやすくどんどん読み進めることができました。

多重人格という着眼点やオチの付け方などはさすがですね。

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あらすじ

人の心が読めるエンパスの能力を持つ由香里は、阪神淡路大震災で心に傷を負った人を救済するため、ボランティアスタッフとして働いていた。

そこで彼女は複数の人格を持つ少女、千尋と出会う。交流を重ねるうちに由香里は千尋の不幸な生い立ちに心を痛め、何とかして彼女を救いたいと願う。

以前より千尋のことを診ていた臨床心理士と協力して、人格を統合するための治療が始まり、上手く行きそうだったのだが、十三番目の人格であるISOLAがとても恐ろしい奴で治療が滞ってしまう。

ISOLAはそのうち人を殺すようになり、その魔の手が由香里にも伸びてくるのだった。

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感想

多重人格、幽体離脱、エンパスなどオカルティックなガジェットが多く詰め込まれています。この手のオカルト話が好きな人には堪らないですね。

それでいて、破綻することなく上手に物語を構築している点は流石です。そして、さくさく読み進めることができるリーダビリティの良さもこのころから発揮されている。

ただ、少し唐突に感じる部分もあって、由香里と真部の出会いもそうだし、二人が急速に惹かれあう過程も都合よく感じた。

卒なくまとまっているけれど、物足りなさを感じる作品。大賞ではなく佳作だったのも納得。心理学に興味がある人は読んでみるのがいいと思う。

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