青春ミステリー小説のおすすめ10選

sakura

ミステリーと青春小説は相性が良くて、学生を主人公にしたミステリー小説を、多くの作家さんが描いています。そしてシリーズ化する傾向が強い。

学生時代は誰もが経験するので、他の職業のように取材する必要がなく、描き易いのかもしれませんね。デビュー作が青春ミステリーという作家は非常に多いです。

読者としても共感しやすいから人気ジャンルですね。僕も好きでよく読んでいます。

今回はそんな青春ミステリーのおすすめを10作紹介したいと思います。選び終わってから思ったのですが、内容がわりと重めの話が多いですね。

人が死なない日常の謎系ではなく、殺人事件を扱ったものがほとんどです。

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『青の炎』 貴志祐介

青春ミステリといったらこの作品は外せない。家族を守るために完全犯罪を目指す17歳の少年。計画通りのはずなのに、様々な問題が発生して次第に追い詰められていきます。

犯人側の視点で描いた倒叙ミステリで、ミステリとしても青春ものとしても面白い。主人公の苦悩、切なさも感じられる青春文学といった感じ。青春ミステリの傑作ですね。
ちなみに映画化もされていて、そちらも面白かったです。原作の雰囲気を上手く映像化していました。配役もベストだったと思う。
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『孤島パズル』 有栖川有栖

今回紹介した中で最も青春感があるのはこの小説。登場人物は推理研究部の大学生で、物語の舞台は南海の孤島。嵐により外部との連絡が絶たれる、王道のクローズドサークルものです。
殺人事件の他に宝探しも行われ、灼熱の太陽の中で奮闘する様子は、青春っぽさ抜群。読んでいて楽しいし、肝心の謎解きの論理も鮮やか。読んで損はない一冊。
尚、『孤島パズル』はシリーズ作の二作目に当たります。他の作品も面白いので、気になった方は最初から読むといいかもしれません。

『放課後』 東野圭吾

言わずと知れたミステリ作家・東野圭吾のデビュー作。刑事とか職業ものが多いイメージですが、デビュー作は意外にも学園もの。しかも女子校が舞台。

そして密室トリックが出てくるストーレートな本格ミステリです。

主人公は男性教師ですが、生徒たちの様子がちゃんと描かれており、青春感はあります。トリックが秀逸で動機が独特。この動機には賛否両論ありますね。

『クラリネット症候群』 乾くるみ

個人的に凄くおすすめしたい作品。乾くるみは『イニシエーションラブ』が有名ですが、こっちの方が断然好きです。

表題作の『クラリネット症候群』と『マリオネット症候群』の二作が収められています。どちらも中編で特殊設定のミステリ。

『マリオネット症候群』は人格転移、『クラリネット症候群』は特定の音が聞こえなくなる暗号もの。両作とも主な登場人物は高校生です。
青春ものとしての面白さもありつつ、特殊設定を活かしたミステリに仕上がっていて、楽しい時間を過ごせること請け合い。

『goth』 乙一

青春といえば爽やかなイメージを連想しますが、この作品はそれとはほど遠いダークな世界観。

自分は人を殺すタイプだと自覚している少年と、人の残酷な面を見るのが趣味の美少女による、サイコな連作短編ミステリです。

各短編のトリックも、一冊としてみた時のまとまりも良い。短編集としてよく出来ています。ただ、ミステリを多く読んでいる人は、そこまで驚きを得られないかもしれません。
こちらはミステリを読み慣れていない人、少し異常な青春ミステリを読みたい人におすすめ。大人な小説が好きな人には向かないかもしれない。

『夏服パースペクティブ』 長沢樹

映画研究部の高校生たちが、山奥の廃校で映画撮影を行っていると、突然の嵐に見舞われ外部と隔絶されてしまう。

そんな状況の中でなんと殺人事件が発生。取り残された生徒たちは、自分たちで犯人探しをする。

合宿ということもあり青春感が強いです。高校生たちのやり取りを丁寧に描いているので、青春ミステリを求めている人にピッタリ。

映画や映像についての蘊蓄も豊富なので、その手の話に興味がある人にもおすすめです。事件が起こるまでは、ほのぼのした日常系の雰囲気。

ただ、殺人事件の方は結構グロくて重い。事件はちゃんと論理的に解決されるため、ミステリとして満足できます。

『秋の花』 北村薫

青春の痛みを求めている方にはこの作品がおすすめ。主人公は女子大生。彼女の後輩の女子高生が、文化祭の準備中に屋上から転落死する事故が起きる。

死亡した女子高生の親友から相談を受けた主人公は、事件の調査を開始する。

この小説は凄いトリックが使われているとか、そういうタイプではありません。主人公の日常シーンがほとんどなので、ミステリというより青春小説といった感じ。
転落事故の真相が悲しくて切なくて、とても印象に残っています。読み終わった後、しんみりしてしまう。ミステリ要素のある青春小説を読みたい人に最適。

『体育館の殺人』 青崎有吾

タイトルが示す通り、体育館で起きた殺人事件の話。現場は密室で誰にも犯行は不可能と思われる中、ほんの些細な違和感から犯人を導き出します。
オーソドックスな本格ミステリを、現代の価値観でやっています。探偵役はアニメオタク、ヒロインはスポーツ女子という設定。

これによってミステリに馴染みのない若い人でも、読みやすくなっています。犯人の特定方法は非常にロジカルなので、古来からのミステリ読みにも勿論おすすめ。

『退出ゲーム』 初野晴

高校一年生の仲良し男女が活躍する連作短編ミステリ。日常シーンはほのぼのしていて、アニメや漫画のようなのに、事件に関しては重め。

そこに僕は魅力を感じました。何かしら問題を抱えたキャラが次々登場します。

メインキャラは吹奏楽部に所属しており、メンバーは個性豊かな面々ばかり。彼らのやり取りを見ているだけでも、学園ものとして楽しめます。
そして事件の真相には意外性があるため、ミステリとしても面白い。人が死なないミステリを探していて、部活ものが好きな人には打って付けです。

『その孤島の名は、虚』 古野まほろ

吹奏楽部の女子高生たちが突如謎の島に飛ばされ、そこでサバイバルを繰り広げる――という内容。デスゲームや脱出系、ゲーム的な話が好きな人なら楽しめると思います。
しかも本格ミステリ的な仕掛けも施してあり、満足度の高い作品。ただ文章が特徴的だったり、数学の公式が出てきたりします。

それに加えてページ数も多めなので、誰にでもおすすめというわけではないですね。

サバイバル+青春+ミステリ+SFといった感じで、様々な設定が詰め込まれています。癖の強い作品といっていいでしょう。読み応えがあるのは確か。ド嵌まりする人もいると思います。

あとがき

以上、10作品紹介しました。ほとんどの作品がシリーズ化しているので、気に入ったものが見つかったら、読み漁ってみて下さい。青春ミステリはシリーズで読めるのが嬉しいですよね。

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