私的おすすめミステリー小説10選!

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ここでは僕が個人的に好きなミステリー小説を10作選んでみました。ミステリーとしての出来うんぬんよりも、純粋に面白いものを選んでいます。どなたかの作品選びの参考になれば幸いです。

 

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『GOTH』乙一

第三回本格ミステリー大賞を受賞した乙一の代表作。作者得意のサイコホラーの雰囲気に満ち、ミステリーとしての驚きも用意されている良作です。

文章はよく言えば平易で読み易い。悪く言えば少々味わいに欠けます。内容とは関係ないですが、単行本は一冊だったのに、文庫版では僕の章と夜の章の二つに分かれているのが気になりました。

僕は単行本で読んだのですが、この作品を分冊した理由がわからないです。量は多くないし、一冊で読んでこそ価値があるはず。二冊に分けたのは読者思いじゃないですね。

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『富豪刑事』筒井康隆

 多種多様な作品を発表している筒井康隆の連作短編集。著者は権威ある文学賞をいくつも受賞している豊かな才能の持ち主です。

この小説はミステリーの出来どうこうよりも、登場人物たちのやり取りがとにかく面白い。表現の仕方や言葉のチョイスが秀逸。ドタバタコメディが得意な著者だけに、こういうテイストのものを書かせたら抜群に上手いですね。

笑えるミステリーが読みたい人に強くおすすめします。

『瞬間移動死体』西澤保彦

本格ミステリーにテレポーテーションを取り入れた一風変わった小説。主人公の女性に対する価値観も変なら、妻の価値観もどこかおかしい。著者の作品にしては登場人物の名前が普通で、その点でも変わっています。

変なところだらけですが、事件はちゃんと論理的に解決し、本格ミステリーとして楽しむことができます。真面目なミステリー小説に飽きた方におすすめ。

『扉は閉ざされたまま』石持浅海

犯人視点で物語が進行していく倒叙ミステリー。犯人の謀略がいかにして破られるかに面白さがあります。ドラマでは刑事コロンボや古畑任三郎が有名ですね。

ところで、石持浅海の作品には動機がおかしいものがよくあります。本作もそうで動機に関しては、何だよそれ、と思ってしまいました。

しかしながら、それ以外の部分は細かいところまで丁寧に作り込まれていて唸らされます。

『造花の密』連城三紀彦

ミステリー界の大御所、連城三紀彦が挑んだ誘拐ミステリー。現実世界において、身代金目的の誘拐の場合、成功率は0%と言われています。金の受け渡しの際に、何らかの方法で必ず警察と接するかららしい。

他のテーマに比べて誘拐ミステリーが少ないのも、上記のような事情がネックとなって、妙案がなかなか浮かばないのでしょうか。

しかし、この小説では実に鮮やかな方法で身代金を強奪します。事件は二転三転しながら一気呵成に進んで行き、最後まで目が離せません。このプロットは見事。誘拐ミステリー小説の傑作です。

『密室殺人ゲーム王手飛車取り』歌野晶午

まず言っておきたいのは、この小説は倫理的に大きな問題があります。ミステリー小説が苦手な人や、読み慣れていない人が見たら嫌悪感を覚えるような内容です。

とはいえ、本格ミステリーとしては非常に面白い。本作は虚構の話とわりきって、ある種のパズルとして読むのがいいでしょう。

登場人物が出題する謎は、密室、アリバイ、ミッシングリンクなど、ミステリーで使われるトリックを一通り網羅しているため、ミステリーの解説本として読むこともできます。作者のミステリーに対する信条が感じられる傑作。

『人形はなぜ殺される』高木彬光

魔術愛好家の面々が見守る中、白木の箱の中から人形の首が消失した。その後ギロチンで首を切断された死体の傍らに、消えうせたはずの人形の首が転がっていた。続いて第二の事件、またもや人形が殺される。そして、その後同じ殺害方法で人間の遺体が発見される。人形はなぜ殺されるのか。この複雑怪奇な謎に名探偵・神津恭介が挑む。

日本三大探偵の一人、神津恭介が活躍するシリーズの一作です。〝人形はなぜ殺される〟その理由が秀逸。本格ミステリーの王道を行く派手な作品。半世紀前に書かれた作品ながら、現代でもその魅力は色褪せていません。

『探偵映画』我孫子武丸

明るく、ほのぼのしたユーモアミステリー。普通の殺人事件の場合は、自分が犯人と疑われないよう様々な主張をしますが、本作はその逆。

監督が途中で失踪したため、誰が『探偵映画』の犯人役かわからず、役者やスタッフ達で誰なのか推理します。その際に役者たちは皆、自分が犯人だと主張するのです。

役柄としては犯人が一番おいしいので、様々な理屈をつけて自分がなろうとします。その議論が本当に面白おかしい。ミステリーというよりも物語として楽しいので、何度でも読みたくなる。ユーモアミステリーが読みたい人は是非手に取ってみて下さい。

『時計館の殺人』綾辻行人

重量感、仕掛け、雰囲気、どれをとっても大作と呼ぶにふさわしい傑作。閉ざされた空間で起こる殺戮劇、一人また一人と殺されていく中で、はたして生き残ることができるのか、そんな逼迫した状況の恐怖が伝わってきます。

物語に仕掛けられたトリックは類まれなる出来。幕引きの仕方は、ハリウッド映画的な見栄えの良さがあり壮大。エンタメ作品としての完成度が高く、文句のつけようがないですね。

『盤上の敵』北村薫

北村薫氏は普段、日常の謎といわれる人の死なないミステリーを書いています。そして、読後にほっこりするような優しい作品が多い。

そんな氏の作品にしては珍しく毒があります。決して優しい作品ではなく、苦しさと切なさがあります。珍しいどころか、もしかすると最初で最後かもしれない記念碑的な作品。

物語はテンポよく進み、一度読み始めるとその手を止めることができません。大作というわけではないけれど、よく作り込まれていて僕は好きですね。

北村薫氏は人間を描くのが上手く、文章にも品があるので読んでいて心地いいです。それに加えて本作にはトリックの巧みさが加わるので、評価が高くなるのも当然かなあと。

あとがき

こうしてみると、本格からコメディ色の強い広義のミステリーまで、様々なテイストの作品がありますね。どれも自信を持っておすすめできるものばかりです。

『定番ミステリーのおすすめ10選』では、知名度を重視して作成しています。とりあえず有名なやつを読みたいという人は、よろしければご覧になって下さい。

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