スプラッターホラー『殺人鬼』綾辻行人 あらすじと感想

 

感想 ★★★☆☆

登山を楽しんでいたサークル一行が、謎の怪物に襲われるスプラッターホラー。このジャンルの王道の設定で綾辻行人らしさが発揮されています。

通常のスプラッターホラーでは使われないような、奇抜な仕掛けが施されています。

ただこれは諸刃の剣でもあって、好き嫌いわかれるのは間違いない。

スポンサーリンク

あらすじ

〝TCメンバーズ〟に所属する男女のグループは、双葉山で登山を楽しんでいた。実はこの山、曰く付きで、かつて猟奇事件が起きたとか、現在も怪物が彷徨っているとか、胡乱な噂があった。

メンバーたちは当然誰も信じておらず、よくある怪談として話のネタにしていた。だが、キャンプファイヤーをした夜、メンバーの何人かが惨殺される。やったのは噂の怪物だった。

まさか本当に存在するとは。逃げ惑うメンバーたちだったが、殺人鬼は容赦なく殺戮を繰り返す。しかも、目を覆いたくなるような残虐な方法で。

はたしてメンバーたちは無事生き残ることができるのか。

 

スポンサーリンク

感想

今回読んだのは再読でして、初めて読んだのは随分前でした。細かい部分は何も覚えておらず、ただ漠然と面白かったという印象を持っていました。

もちろん仕掛けについては覚えてましたけどね。

それで再読してみたわけですが、今改めて読んでみると結構印象が変わりました。強引に感じる部分もあったし、肝心のスプラッター描写で楽しめなかった。

僕は一時期ホラー映画をよく見ていたことがあって、『ジェイソン』や『エルム街の悪夢』を筆頭に、スプラッター映画もそれなりに見ています。

おそらく有名どころは大体おさえていると思う。本書を読んだのも確かその時期。

映像含めグロ系作品も楽しんでいたわけですが、人の嗜好は変わるもので最近はめっきり見なくなりました。

だから本書のスプラッター描写についても嫌悪感を覚えた。

刺激を求めていた当時は満足していたはずだし、スプラッターとしてはそこまで過激というほどでもない。

けれど、おそらく僕はもうこの手の猟奇スプラッター、ゴア描写が売りとなる作品を楽しむことはない気がしますね。

グロ描写よりも、茜というキャラの踏切でのエピソードの方がゾッとしました。

さて、この手の作品では殺人鬼に魅力があるかどうかも、大事なポイント。ジェイソンしかり、フレディしかり、カルト的な人気を誇るキャラが多くいます。

本書の殺人鬼については……なんとも言い難いですね。有名キャラみたいな特徴的な部分はないもないです。ホッケーマスクを付けているわけでも、かぎ爪があるわけでも、顔がピンヘッドだらけなわけでもない。

ただ本書の場合、特徴がないのが特徴ともいえるので難しいところ。特異な見た目にすると別作品になってしまう。

その代わりとして、ある仕掛けによってオリジナリティを出しています。

読んだ当時はこの仕掛けに大いに驚き、興奮したのだと思う。だから何年たってもこの点は覚えていたのでしょう。

当時は賛成しかしてなかったと思うけれど、こうして改めて読んでみると、賛否わかれるのが凄く理解できます。

純粋にスプラッターとして楽しんでいた人は、こんな仕掛けいらんわ、となるでしょうね。

 

あとがき

再読だと面白さが半減するのは否めませんね。仕掛けを知った上で読むようなものではない。

荒唐無稽な話ですがスプラッターが好きな人は楽しめると思います。要所はちゃんと抑えてますよ。

続編の『殺人鬼 逆襲編』も読んでいるのは間違いないけど、まったく覚えてないです。こちらに関しては仕掛けすら覚えていません。

それほど印象が薄かったのか、それとも何の仕掛けもなかったのか、どっちだろうなあ。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました