感想 ★★★★★
最後に驚きの結末が待っていることで有名な作品。
久しぶりに読み返してみましたが、やはり後味の悪さが半端なかった。でもやはり面白かった。
東野圭吾の本格ミステリ作品は好きですね。クローズドサークルが好きな人におすすめです。
あらすじ
最愛の婚約者を事故で失った樫間高之は、彼女の親族とペンションで休暇を過ごしていた。そこへ予期せぬ闖入者が現れる。
銀行強盗した凶悪な二人に、樫間ら八人は監禁されてしまうのだった。
脱出を試みるも失敗に終わり、緊迫の状況が続く中、ついに殺人事件が起きてしまう。
だが、状況を鑑みると犯人は強盗の二人ではありえなかった。
まさか、仲間の中に犯人がいるのか……。いったいどうして、しかもなぜこんな状況で。
極限状況の中、彼らは犯人捜しを試みるのだが――。
感想
クローズドサークルになる要因は、嵐とか雪が定番ですが、銀行強盗というのが面白いですね。
そしてそんな緊迫した状況にもかかわらず、なぜ殺人事件が起きるのか。その謎に興味を惹かれます。
さらに婚約者の事故の謎も絡んできて、最後まで飽きることなくサクサク読めます。東野作品はほんとリーダビリティが高い。
ネタバレになるので詳しく書けませんが、殺人事件に派手さはないです。難攻不落の密室とか、遺体が異常な状態とか、そういうタイプではないです。
謎解きの論理には納得でき、なるほどと思うものの、ロジックミステリのような緻密で鮮やかなタイプではないです。
比較的簡単と言っていいでしょう。
それでも読み終わった後には、確かな驚きと満足感を得られるに違いない。
今書いていてふと思ったのですが、最近話題となった『方舟』と同じ印象を受ける作品です。
もちろん話もトリックも全然違うんですが、意外性の種類というか、漠然とした印象で共通するものを感じました。
『方舟』を読んで嵌まった方は、本作もきっと好みにあうと思います。
さて、僕が一番印象に残っているのは後味の悪さです。初めて読んだ時からだいぶ時間が経って、そのぶん年齢も経験も重ねましたが、その印象は変わらなかった。
見方を変えれば爽快な話と読めるけれど、ある人物について考えると、悲しくて苦しくて何とも言えない気持ちになる。
その印象が強くて僕にとっては後味の悪い話ですね。
あとがき
東野圭吾はやはり小説を書くのが上手いなあと感じる作品。心の機微に鋭いからこういうミステリを
書けるのでしょうね。
こう書けば読者はこう思うっていうのを、完璧に理解しているのだと思う。
この部分が東野作品の強さですよね。もちろんミステリとしての質も高いですが
本書は読みやすく誰にでもおすすめな作品。特に嫌ミス、欝になる話を探している人は要チェックです。
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