感想 ★★★☆☆
犯罪学者の火村と作家の有栖川が活躍する国名シリーズの第一弾。本書には六つの短編が収録されています。
表題作の『ロシア紅茶の謎』もよかったけれど、それよりも『赤い稲妻』のほうが好みでした。
『ロシア紅茶の謎』
衆人環視の中で毒殺された作詞家。みんな同じ紅茶を飲んだのに死んだのは彼一人。毒を入れるチャンスは誰にもないはずなのに、いつ、どうやって毒を入れたのか。
ミステリによく登場する、あるものを使ったトリックで上手く応用していたと思います。ただかなり危うい方法である。
『赤い稲妻』
嵐の夜、マンションのベランダから一人の女が落下した。その様子を偶然目撃した男は、ベランダにもう一人いたと証言する。
だが、ドアチェーンが掛けられた部屋の中には誰の姿もなかった。
結末に意外性があってトリックも面白かった。嵐の夜という状況に、雰囲気作りだけでない意味があったのもよかったです。
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