ロマン溢れる本格ミステリ『星読島に星は流れた』久住四季 感想

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感想 ★★★★☆

何度も隕石が落ちる不思議な島で、殺人事件が起きるクローズドサークルもの。

舞台となっているのは海外の島。星に関する話ということもあり、ロマン溢れる雰囲気だったし、それに加えて後味もいいので好感度は高いですね。

恋愛要素なんかもあって読んだ後にほっこりします。事件の真相については比較的わかりやすかったです。

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あらすじ

アメリカで医者をしている加藤盤は、ネットの天文学フォーラムにて、天体観測の参加者を募集しているのを見て、駄目もとで応募する。

それは天文学者のサラ博士が一人で暮らす島でのイベントで、毎年多くの希望者がいることで知られていた。

なぜなら、その島には頻繁に隕石が落ちて来るのだ。しかも太っ腹な事に、その隕石を参加者の誰かに譲るという。

加藤は見事に当選してアメリカのボストン近海にある星読島へと向かう。

参加者は加藤を含め七人。その面々はNASA職員、博物館職員、隕石探索の専門家、離婚調停中の女性、天才少女、ニート、とバラエティーに富んでいる。

サラ博士を含め皆は仲良くやっていたのだが、実際に隕石が落ちて来たことから歯車が狂い出す。その翌日に参加者の一人が遺体となって発見される。そして、警察への連絡手段がない中、新たな事件が起きるのだった。

隕石がこの島に落ち続ける理由とは、殺人事件の真相とは、島に隠された秘密を、加藤は天才少女の美宙と共に探っていく。

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感想

基本的に閉ざされた空間でのミステリが好きなので、終始楽しんで読むことができました。著者の久住四季は、ラノベ畑でミステリを書いてきた方のようだ。読むのは本作が初めて。

ラノベはいかに魅力的なキャラを作れるかにかかっている、と聞いたことがあります。そういうところでやってきただけあって、その辺りの塩梅は的確でした。

主人公の加藤は恋愛に関してメチャクチャ鈍感。これは定型的というか、もはやお約束と言えるかもしれません。

過去のエピソードなど、作り込みはしっかりしていたし、鼻につくところもなくてスムーズに読み進められました。

それは他のキャラも同様で、引っかかるほど定型的でもぶっ飛んでもなくて、上手い具合にキャラを配置していました。

実際に事件が起きるのは中盤近くになってから。それまではそれぞれのキャラの特徴に費やされており、キャラを大事にしているような印象を受けました。

最後に明かされる真相に関しては、登場人物が少ないこともあって気づきやすいと思う。方法というか理由というか、それも驚きを感じられるほど独創的とは言えないでしょう。

ミステリとしての難易度はそれほど高くありません。

あとがき

隕石についての蘊蓄が豊富で、何も知らない僕にとっては興味深かった。隕石にそれほど高値がつけられるとは驚きました。

本作は日常の謎ではないけれど、その手の作品に見られるほのぼのした空気があり、そういうのが好きな人におすすめ。

孤島での本格といっても、おどろおどろしい猟奇的なタイプではありません。読後感もよくて満足できる作品でした。

キャラクターが魅力的なので読んでいて楽しい。ミステリが苦手な人にもおすすめです。

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