感想 ★★★★★
SNSやメディア等、いろんなところで凄いと話題になっている本書。書店でも大々的に宣伝されてました。
いったいどれほどのものだろうと、何も知らないまま手に取りました。
それが大正解だった。絶対に何も検索せずに読んだ方がいい。
読み終わってから評判を見てみようと、グーグルにタイトルを入力したら……なんとサジェストにネタバレが出てきてました!
これにはビックリしました。それだけ多くの人が、タイトルとネタバレを入力して検索しているのでしょう。
この事態には著者も出版社も頭を抱えているでしょうね。
そういうタイプの小説ですので、読もうと思っている人は今すぐにでも読んだ方がいいです。
今年の各種ミステリランキングに絡んでくることも間違いないでしょう。
あらすじ
大御所ミステリ作家の宮内彰吾がガンにより死去した。宮内は闘病生活をしながら、小説を書いていたらしいのだが、どこを探しても原稿が見つからない。
分かっているのは『世界でいちばん透きとおった物語』というタイトルだけ。
遺族の依頼により原稿を探すことになった藤阪燈真は、複雑な心境だった。実は燈真は宮内彰吾の腹違いの子供なのだ。
認知されていないし、一度も会ったことがない。いわば他人同然。
原稿探しを通じて、燈真は父である宮内彰吾の人となりを知っていく。女遊びが激しく碌でもない人間だった。
しかし、小説のレベルだけは超一流だった。
そんな宮内が人生最後に書いたのは、いったいどんな作品だったのか。燈真も次第に興味を惹かれていく。
徐々に宮内の遺稿に近づく燈真。そして最後に衝撃の結末が待ち受けていた。
感想
なるほど、これは確かに凄い小説でした。煽り文に嘘偽りなし。タイトルも見事です。
帯に電子書籍化不可能とありましたが、それにも納得。電子書籍化されることは100%ないでしょう。
本当はネタバレしていろいろ書きたいのですが、ぐっと我慢して簡潔に終わらせたいと思います。
ストーリーは感動系の話。おそらく、あらすじを見て面白そうと思わなかったら、読み終わっても面白いとは思わないでしょう。
しかし、それでも読んだ方がいいです。
登場人物はみんな淡泊な印象で、感情的になるキャラもいないし、そういうシーンもありません。ストーリーに起伏もなく淡々と進んで行きます。
主人公は感情を失ったのかと思うくらい、無味乾燥で印象が薄いです。もしやタイトルの〝透きとおった〟とはそういう意味なのか? と穿ったりもしました。
こんな感じなので物語の印象を一言で表すなら、淡々としている――これに尽きます。
しかし、それでもやっぱり読んだ方がいいです。
あとがき
下書きではもっといろいろ書いたのですが、何を書いてもネタバレになる可能性を秘めていたので、全部消しました。
感想は星五つにしてますが、面白かったというより、読んで良かったと思えたのでこうした――というのが正確なところですかね。
簡潔に書き過ぎたせいで、これはこれで語弊を生みそうですが、まあ仕方ない。
気になった方はご自身の目で確かめて見て下さい!
コメント
おはようございます。
自分も「世界でいちばん透きとおった物語」読みましたよ。
とても良かったです。
トリックに驚きました。
そのうえ最後まで飽きることがありませんでしたよ。
神崎和幸様へ
凄いトリックでしたね。
そう来るとは思わず自分も驚かされました。