『背徳のぐるりよざ セーラー服と黙示録』 古野まほろ

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感想 ★★★★☆

世間から隔離された特殊な村で起きる連続殺人事件を、女子高生たちが解決する本格ミステリ小説。

読み終わった後に、お腹いっぱいで食傷気味になるほど複雑で濃密な話。かなり現実離れしているため、好みは別れそうです。

ライトノベル的なところがあって、宗教要素もあって、謎解きはもの凄くロジカル。こんな感じなので、好きな人はとことん好きでしょうね。

ちなみに本作はシリーズものの二作目のようですが、前作を読んでいなくても特に問題なかったです。

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あらすじ

ヴァチカン直轄の探偵養成学校・『聖アリスガワ女学校』。毎年恒例の行事で、三泊四日の合宿に向かった生徒七人だったが、その道中で睡眠薬を飲まされる。

そして、目が覚めた時には合宿予定地とは違う謎の村にいた。その村は周囲を険しい山で囲まれており、第二次大戦中からずっと閉ざされた奇怪な村。外へ出るための道はどこにもない。

村から出られないとわかり絶望に打ちひしがれる中、動機不明の殺人事件が起き、彼女達は命の危険も感じることに。

探偵養成校の精鋭であるフーダニットの島津今日子、ハウダニットの古野みづき、ホワイダニットの葉月茉莉衣は、それぞれの得意の分野から事件の謎を解き、この呪われた村からの脱出を図る。

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感想

様々な作品へのオマージュが感じられる作品でした。横溝正史の金田一耕介シリーズや、有栖川有栖の学生アリスシリーズを彷彿とさせる部分があります。

ただ、それらの作品よりもだいぶ人工的な設定。村人はカトリックの戒律に縛られ、嘘が吐けないことになっており、それが謎を解く際の重要なポイントになっています。

まるで論理パズルのようだし、その他についてもいろいろと定義されていて現実感はないです。

謎解きのロジックに関しては納得できるけれど、力技に思えるところが無きにしも非ず。

犯人が最初の村人を殺害できた理由や、ある場面での村長の質問の受け答えについて、そんなのありかよと思わなくもない。

動機、手口、犯人の三つを別々の人間が推理するというのは、これまで読んだことがありませんでした。多分そんな作品他にないんじゃないかな。

こうすることによって、それぞれのキャラクターが立っていて、良いアイデアだと思いました。

そして暗号を解いて村から脱出するくだりは、アドベンチャーのような面白さがあります。

あとがき

オリジナリティに溢れているし、ロジックもしっかりしているので、本格ミステリとしてよく出来ているのは間違いないです。

ただ、仲間が殺されているのに平然としているのが引っかかりました。もちろん、悲しんでいる描写はあります。でも、とってつけたような感じであまり伝わって来ません。

それと謎解き部分になって、あるキャラクターが急に漫才のような掛け合いをするのも、おふざけが過ぎるように感じました。

謎解きとしての面白さを極限まで追求した作品だから、どうでもいいといえばどうでもいいです。でも僕は気になってしまいました。

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