『ブラッド・ブラザー』 ジャック・カーリイ

gout

感想 ★★★☆☆

事件の特異性と個性的なキャラで人気を博しているサイコミステリシリーズの第四弾。

これまでは主人公の刑事カーソンが所属するモビールでの話でしたが、今回の舞台は大都会ニューヨーク。

事件の猟奇性はこれまでと負けず劣らず、そして今回はカーソンの兄であり犯罪者のジェレミーがキーパーソンとなっています。

過去の事件も絡んでくる重層的な物語で読みごたえがありました。

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あらすじ

ニューヨークで惨殺遺体が発見された。その被害者はジェレミーのいる施設の館長だと判明し、カーソンはニューヨークに赴くことに。

同時にジェレミーが施設から脱走していることも明らかとなり、カーソンはこの事件の捜査に加わることに。同じような惨殺遺体が次々と発見される中、犯人と目されるジェレミーの行方は杳として知れない。

カーソンは当初、田舎者と揶揄されニューヨーク市警と対立するも、徐々に実力を認められていき、捜査の責任者である女刑事フォルジャーともむふふな関係に。

しかしそのフォルジャーに、血に飢えたジェレミーの足音が迫っていた――

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感想

後半からは二転三転する展開の連続で、最後まで結末が予想できません。前作『毒蛇の園』は期待外れだったけれど、本作はなかなか面白かった。

今までと異なる点は視点がいろんな人物に移行するところ。そのため映画のような感じがあります。事件の規模が大きいゆえに、多角的に描写できるこのやり方を採用したのでしょう。

個人的な好みを言わせてもらえば、視点人物は一人、もしくは二、三人に絞ってある方が好きなので、少しわちゃわちゃして忙しい印象を受けました。

この作品を読むなら、一作目から順番に読んでおいた方がいいと思います。なぜなら、カーソンとジェレミーの関係をあらかじめ知っておいた方が、絶対に楽しめるからです。

『毒蛇の園』にジェレミーは出てこないので別に読まなくてもいいですが、最低でも一作目の『百番目の男』は読んでおくべきでしょうね。

もちろん、いきなり本作からでも問題ないように書かれています。しかし読んでいるか読んでいないかによって、感想は若干変わってくるような気がします。

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