『偽のデュー警部』 ピーター・ラヴゼイ

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感想 ★★★★★

1982年発表のミステリ小説。それぞれの登場人物に魅力があって、尚且つミステリとしての面白さもあったので、大変満足できました。

イギリスで英国推理作家協会賞を受賞しているし、日本での評価も高い作品。噂に違わぬ面白さでいい読書体験になりました。

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あらすじ

物語の舞台は豪華客船。そこでパラノーフとアルマの不倫カップルは、パラノーフの妻を殺害しようと計画する。夜の海に落としてしまえば見つかりっこないと考えたのだ。

船に乗り込むのに偽名を使うことにしたパラノーフは、さして深く考えることなく、イギリスで有名なデュー警部の名前を借用する。

いよいよ計画実行となった夜、女が海に落ちるところが目撃され、彼女は船内に引き上げられる。女はすでに死んでいたが、これが事故ではなく殺人であることが判明して、事件の捜査が開始される。

そして、ひょんなことから船にデュー警部が乗っているとの噂が広まる。こうして名前を騙った偽物のデュー警部が、事件の捜査をするはめになってしまうのだった――。

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感想

まず物語の世界観がよかったです。第一次大戦と世界恐慌の間の1920年代が舞台で、その時の比較的平穏で華やいだ世相に、本作のコミカルな雰囲気がよく合っていました。

チャップリン、タイタニック号などが話題にのぼったりして、当時の空気感が伝わって来ます。

なかなか船に乗り込まないから、ミステリとしては導入部が長すぎるように感じたけれど、キャラクターに魅力があるため、退屈に感じません。楽しんで読むことができました。

豪華客船には不倫カップルの他にも、カードゲームの詐欺師、早く娘を結婚させたがっている裕福な一家、大富豪の息子などが乗っていて、それぞれの物語が展開されます。

仮装パーティなども開催され、登場人物たちを通して見る船内の雰囲気がよかったです。

そして事件が起きてからの偽警部とヒロインの行動や考えが、どこかコメディーチックで読んでいて楽しい。

ミステリとしても納得できる作りになっているし、最後に驚きも用意されています。非常に満足度の高い一冊でした。

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