『火刑法廷』ジョン・ディクスン・カー あらすじと感想 ネタバレあり

感想 ★★☆☆☆

密室もので有名なミステリ作家・ジョン・ディクスン・カーの代表作の一つ。古典と言ってもいい作品なので、ネタバレをしつつ感想を述べたいと思います。

スポンサーリンク

あらすじ

デスパード家の書斎で当主のマイルズ・デスパードが死んでいるのが発見される。病死とされ埋葬されたものの、毒殺を疑った甥のマークは隣人のエドワードに協力してもらい、墓を暴くことを決意する。だが、墓から遺体は忽然と姿を消していた。

調べていくうちに、マイルズに毒を渡した謎の女が存在することが明らかになる。はたして、マイルズは何故死んだのか、密室と化した墓から遺体はいかにして消失したのか。

スポンサーリンク

ネタバレあり感想

本書を読んでまず思ったのは、登場人物のセリフが長いこと。一人が一度に二、三ページ話したりするのがザラです。

探偵役、あるいは饒舌な人物が長くなるのはいいとしても、出てくる主要人物がことごとく冗長なのは、読んでいて疲れます。途中で地の文や他の人物のセリフが挟まれていればいいのですが、そうなっていません。

ある人物が長く喋ったかと思えば、そのすぐ後に他の人物が続けて長く喋ったりします。こんな感じでアリバイを延々と述べられたらダレテしまう。

そういう個所が何度かあるものの、全体的には難しい表現などなく分かり易い文章で書かれています。

肝心のトリックの部分。これはさすが密室もので有名な作家だけありました。覗き穴から見た光景が、鏡に映ったものだったというトリックは、現代の日本の小説でも読んだことがあります。それらはこのカーの作品からインスパイアされたアレンジだったのでしょう。

もう一つの死体消失トリックは、密室トリックの基本的な方法論のようでした。

あとがき

この作品の特徴は結末が二つ用意されているところ。ある合理的な結末が提示され、その後にそれを打ち消すようなもう一つの結末が示されます。

前者をとればミステリ、後者をとれば怪奇小説となります。僕は前者のミステリとしての結末で納得しているので、後者は不要じゃないかと思ってしまう。

面白いミステリだったけれど、読みにくいので大絶賛は出来ないですね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました