ミステリ短編集 『御手洗潔の挨拶』島田荘司  

感想 ★★★☆☆

御手洗潔シリーズの第一短編集。四つの話と御手洗シリーズに対する小論のようなものが収録されています

ミステリとしての面白さを存分に体感できたかと聞かれたら、ノーと答えざるを得ません。謎解きが終わった後に、カタルシスを感じられるような話はなかったです。

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各話感想

『数字錠』

御手洗と石岡がコーヒーを飲まなくなった理由が明らかとなります。使われているトリックは何てことはない。

というか、この作品において、トリックとかそういう部分は重要視していないようです。人間物語というかそういう叙情性に主眼を置いていると感じた。

『疾走する死者』

ミステリらしい不可能犯罪が起きます。トリックは大味というか荒業というか、納得できないけれど、印象には残るものでした。

『紫電改研究保存会』

興味を惹かれる話でしたが、うーんと思う部分があります。あるものを見て犯人は罠を仕掛けるのですが、普通そんなものが見えるだろうかと疑問に思いました。

『ギリシャの犬』

誘拐事件を御手洗と石岡が解決する。物語に登場する暗号はよくできています。なるほどと思った。御手洗が犬好きということが判明します。

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総評

秀逸だと思う話はなかったです。特に落ち度はないですが、特筆すべき点もない。何というか、普通だったという感じ。

居合切りのような、一瞬で決める鋭さをもったトリックはなかった。

四つの話の後に『御手洗潔の志』と題した評論めいたものが載っています。

日本社会や日本人の性質について書かれています。誰もがわかりきっていることを、高慢に論じている印象。

すべての日本人がこうだと、決めつけて書かれています。

内容は左翼的というかそれに近いものがある。憂えているというより、侮蔑しているような印象を受けました。

よっぽど日本人が嫌いか、何か嫌なことがあってストレスが溜まっていたのでしょうね。
 

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