
感想 ★★★☆☆
ジャック・カーリィによるサイコミステリシリーズの六作目。特に不満はないけれど、読んでよかったと思えるのほどのインパクトもなかったです。
海外の雰囲気を味わいながらサイコな物語に浸りたい、という場合にはおすすめ。何でもいいから面白いミステリを読みたいのなら、他を選んだ方がいいでしょう。
あらすじ
主人公のカーソンは日々の疲れを癒やすために、人里離れた山中で休暇を過ごす。その最中に事件に遭遇し、地元警察と協力しながら解決へ向け奔走する。
このシリーズらしく遺体の状態は奇妙です。GPSを使った宝探しゲームの座標が公開され、その場所に行ってみると惨殺された被害者がいるという具合。
殺人鬼で監獄から脱出したカーソンの兄も今回は登場します。その登場の仕方には意外性がありましたね。
そして真犯人にも意外性があったと思います。カーソンは地元警察の女刑事と恋に落ちたり、犯人と命がけの格闘を演じたりと、いつも通りの奔放振りが遺憾なく発揮されています。
なのでシリーズを読み続けているカーソンファンの方が、期待を裏切られることはないでしょう。
ミステリとしては
特に凄い仕掛けがあるわけではなく、普通の警察小説という感じですかね。物語が進むうちに徐々に隠れていた部分が明らかになって、真相に辿り着くという展開。
ただ本作の真犯人はけっこう予想外でした。ちゃんと始めから存在していたのに意外なところからやって来た印象です。
それでもシリーズの初期作品には劣ります。初期は本格ミステリ的なところもあったんですが、最近ではそういった楽しさは感じられないので個人的には残念。
サイコであり本格ミステリ的な面白さも味わいという人には、第一作目の『百番目の男』が断然おすすめです。これは面白かった。真相には唖然とさせられましたね。一歩間違うとバカバカしくなってしまうのに、よくこの真相であの長さの長編をかけたなぁと。そういう意味でも凄い。



コメント