感想 ★★☆☆☆
アイザック・アシモフは様々な学問に精通していて、SFからミステリまで数多くの著作を残しています。
いったいどういう頭の構造をしているのでしょうか。凡人の僕からすると本当に天才としか思えません。
アシモフといえばSFというイメージが強いですが、ミステリでも有名な作品をいくつか残しています。本書『黒後家蜘蛛の会』も知名度の高い作品。
あらすじ
黒後家蜘蛛の会なる女人禁制の集まりに何らかの謎が持ち込まれ、それをメンバーたちが議論しながら解くというもの。連作短編集となっています。いわゆる安楽椅子探偵ものですね。
メンバーはそれぞれ個性的な人物ばかり。科学者、数学者、弁護士、画家、作家、暗号専門家の六人で構成され、彼らは毎月一回、ミラノ・レストランに集まって会合を開いている。
その際、誰か一人がホストになって、その特権としてゲストを一人連れて来てもいいことになっています。
そして、そのゲストによって謎が持ち込まれます。彼らはあれこれと推理合戦を繰り広げるも、明確な答えを出すことができない。
そんな状況に陥った時に、レストランの給仕係のヘンリーが「ちょっとよろしいですか?」と声をかけ、鮮やかな推理を披露して謎を解く。これが各編のスタイル。
感想
海外のミステリを探している時に、本書『黒後家蜘蛛の会』はたびたび目にしていたので期待して読みました。でも残念ながら僕には合わなかったです。
場面転換がまったくなくて六人の会話だけで話が進んでいくので、どうも退屈に感じてしまった。そういうのが好みじゃないというのがあるにしても、彼らのやり取りが面白いとは思わないです。
それに加えて謎と解決がしょぼい。中にはなんだよそれ、と言いたくなるものもあって、ミステリに求める驚きや、カタルシスを感じられるものは一つもなかったです。
そういうのを求めている人、現代のミステリを多く読んでいる人にはおすすめできませんね。
各編で取り上げられる事件や謎に、陰惨なものや後味の悪いものはないので、読んでいて不快になったりはしません。
例外はありますが、基本的には日常の謎を扱っていてほのぼのした雰囲気。なので、本書が好きという人もいると思います。
こういうスタイルが好きな人は読んでみるのもいいでしょう。
あとがき
個人的には作品よりもアシモフのあとがきの方が面白かった。本書では短編一つ一つにあとがきがついているのです。これは珍しいのではないでしょうか。僕は初めて読んだように思います。
読者から質問や批判の手紙を多くもらうこと、アシモフがこのシリーズを気に入っていることなどがわかり、大変興味深く読むことができました。
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