『マルタの鷹』 ダシール・ハメット 小鷹信光訳

感想 ★★★☆☆

本作は何度も映画化されていて、映画でも有名みたいですね。僕は映画は見たことないのですが、どのように映像化しているのか興味があるので、今度見てみようと思います。

本作はハードボイルド小説の名作といわれており、ハメットといえば『マルタの鷹』という方も多いでしょう。

『デイン家の呪い』や『血の収穫』ではコンチネンタル・オプという探偵社の調査員が主人公でしたが、本作では私立探偵が主人公。

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あらすじ

私立探偵のサム・スペードの事務所にある日、若い女が訪れる。依頼内容は妹と駆け落ちした相手の尾行。

その依頼はスペードの相棒であるマイルズが勤めることになった。

尾行を開始してまもなく、スペードの元へ予想外の知らせがもたらされる。マイルズが尾行の最中に撃ち殺されたというのだ。尾行相手が殺害したのかと思いきや、なんと彼も殺されていたのである。

スペードは女の依頼に何か裏があるとふんで彼女を問い詰める。そして明らかとなったのは、マルタ騎士団にゆかりのある、お宝を巡る物語だった。

様々な名を持つ依頼人の女。お宝を長年追い続けている富豪。その手下の怪しげな男など、様々な人物の思惑がからむ欲にまみれた事件に、スペードは深くかかわっていくのだった。

 

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感想

コンティネンタル・オプと違って、本作の主人公サム・スペードには人間らしさを感じました。

非情なタイプであることに違いはないんですが、オプには何を考えているかわからないところがありました。それに比べるとまだ人間味がありますね。

女に対しての欲望があるためにそう感じたのかもしれません。

内容の方はまさにハードボイルドという感じ。あらすじを見てわかる通り、ハードボイルドと聞いて思い浮かべるイメージそのままです。

まあ、ハメットの作品がハードボイルドの先駆けとされているので、当たり前かもしれませんね。なので今となっては真新しさは感じません。

僕は改訳決定版を読んだのですが、訳者が優れているおかげか文章はとても読みやすかったです。

古い作品にもかかわらず、何の違和感もなくスラスラ読めます。古典の名作を最高の状態で送り出してくれた翻訳者の小鷹信光さんには感謝したい。

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