ミステリの古典 『Xの悲劇』エラリー・クイーン

 

感想 ★★☆☆☆

有栖川有栖や法月綸太郎など、プロ作家の中にもエラリー・クイーンのファンは多い。

ミステリ界に様々な影響を与えた伝説的作家。僕は今までクイーンの作品を読んだことがなく、今回初めて読みました。

日本の現代ミステリに慣れているためか、少し読みずらく感じたし、それほど面白いとも思わなかったです。

残念。期待し過ぎたのかもしれない。

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あらすじ

満員電車の中で毒物を使った殺人事件が発生した。凶器は表面に無数の針が付いたコルク玉。針の部分にニコチン毒が塗られていた。

被害者はいつの間にかポケットに入れられていたそれを握って絶命。

刑事たちはコルク玉がいつ仕込まれたのか調査するが、なかなか上手くいかず途方に暮れる。

そこで推理力が優れるドルリー・レーンという元俳優に協力をあおぐ。

レーンが捜査に乗り出した後、第二の事件が発生。今度はフェリーのスクリューに巻きまれた無残な死体。

それだけでは終わらず、さらに第三の事件まで起きてしまう。レーンはこれらの事件で得たわずかな手掛かりから推理を進め、論理的に事件を解決へと導くのだった。

 

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感想

探偵役のドルリー・レーンはシェイクスピアをこよなく愛する人で、自宅を中世の造りにして、使用人にもその時代の恰好をさせている風変わりな人物。

対する刑事は実直で真面目。人並み外れた推理力を持つレーンに刑事は翻弄されます。こういうキャラ配置は現代小説でもよく見かけますが、おそらく本作が元になっているんですね。

満員電車の中での毒殺は、なんとなく名探偵コナンに出てきそうと思いました(もちろんコナンの方が影響を受けているのでしょうが)。

最初に読みづらく感じたと書きましたが、なぜそう感じたかというと、一人一人のセリフが長いからです。

最後の解決編にいたっては、探偵が延々と一人で説明します。

現代ミステリではそうならないように工夫がされているので、それに慣れている場合は苦痛に感じると思います。

物語の進み方にしても、大半が事情聴取で淡々としています。三つもの殺人事件が起こるけれど、起伏に乏しいような印象を受けました。

犯人特定へ至る道筋はなるほどと思いました。この部分はさすがの出来栄え。

本書は何年も読み継がれている有名な作品ですが、それほど面白いとは感じなかったです。

 

コメント

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