『皇帝のかぎ煙草入れ』 ジョン・ディクスン・カー

感想 ★★★★★

いやあ、面白かったですね。今まで読んだカーの作品は少し読み難さを感じていたんですが、本作は非常に読みやすかった。

古臭さはまったく感じられず、現代小説を読んでいるような感じでした。

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あらすじ

自宅にいた主人公の女は、向かいの家での殺人劇を目撃してしまう。その時、彼女は一人ではなく無理矢理押しかけてきた元夫と一緒だった。

元夫と一緒にいたことを知られたくない彼女は、完璧なアリバイがあるにもかかわらず、そのことを言い出すことができない。

殺人容疑をかけられたため、仕方なく一緒にいたことを告白するのだが、アリバイを保障してくれるはずのその彼が、なんと脳震盪で倒れてしまって供述できない状況に。

捜査当局は彼女への疑いを強める。そこへ彼女の無実を信じる博士が現われ、真犯人を見つけるべく奔走する。

 

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感想

調べてみるとどうやらこの作品はカーらしくないようです。確かに様々な謎が絡み合う緻密なストーリーではなかったし、トリックもシンプルなものでした。

謎解き要素は薄いですが、ストーリーが面白かったので僕はこの作品が大好きです

筋立ての面白さと抜群の構成によって、最後まで飽きずに読むことができます。

シンプルなトリックゆえ、決まった時の効果は大きく、あっと驚く人も多いはず。

古典の本格ミステリの場合、だらだらと真相を説明するシーンが多いんですが、本作にはそれもありません。

古典ミステリの入門書として最適の一冊だと思います。

物語の世界に没入することで、現実逃避できるのが読書の魅力の一つだと思います。

海外小説の場合、見知らぬ場所を舞台にしているため、より強くそれを感じます。時代が現代でなければ尚更です。

本作は古典にも関わらず読みやすいのでおすすめですね。

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