一般小説からライトノベルまで様々な作品を書いている冲方丁。実際に彼が書いた作品を例に出しながら自身の創作術を披露している。主にライトノベル作家を目指している方へ向けて書かれているようだが、そうではない一般小説を書きたい人にも参考にできる部分はあるだろう(純文学はのぞく)。もちろん、作家を目指していない方でも、彼や彼の作品に興味があるなら面白く読むことができる。
ライトノベル作家向けということで、かなりフランクな文体で書かれていた。本書は一般的な創作本にあるような、小説を書く上でのルールなどを書いているのではなく、あくまで自分がどういう方法で創作を行っているかということを披露している。幅広い分野で活躍している氏の実際のやり方や、心構えを知ることができるのは貴重なことだ。
本書では『マルドゥック・スクランブル』、『カオスレギオン』、『蒼穹のファフナー』を題材として挙げているので、本書を読む前にこの三作を読んでおいた方が理解が深まるだろう。僕は読んでいなかったので軽く後悔した。具体的なプロットを載せているのでこれから読もうと思っている方は特に注意が必要だ。
どのようにして物語のテーマを見つけるのか、見つけたらそれをいかにして膨らませ物語に昇華させるのか、というその過程を詳らかにしいるので、文筆業を志す人たちのヒントになると思う(あくまで冲方式ではあるが)。
とは言っても、斬新で画期的な発想方法が書かれているわけではない。もうすでに勉強中の方にとっては基本的なことなのかも知れないから、そういうい人は息抜きのつもりで読むのが良いだろう。 冲方丁の創作に対する姿勢も表明しているので、いい刺激をもらえることは請け合いだ。


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