『超簡単! 売れるストーリー&キャラクターの作り方』  沼田やすひろ

シナリオライターの目線でストーリーの作り方を解説した指南書。売れる作品に共通する要素を体系的にまとめ分析している。多くの人が感覚的にわかっていることを、理屈としてわかるように記している。したがって、読んで新しいことを学ぶというよりは、なぜ自分がそのように感じていたのかを理解するための本といった感じ。本書で提言されていることがすべてが正しいとは限らないが、なるほどと思う部分は多々あった。
 


本書は四つの章に別れている。第一部ストーリーとキャラクターの基礎。第二部プロット。第三部リマインダー。第四部キャラクター。それぞれの項目を実際の映画や漫画を例に出して説明している。

第一部では物語の基本的なこと、起承転結や三幕構成、ハリウッド脚本術に触れている。
第二幕では〝13フェイズ構造〟という独自の物語構成法を展開している。
第三幕では著者がリマインダーと呼んでいる演出の方法を。
第四幕ではキャラクターの役割と創作方法を解説している。

この中で一番の見所はプロット部分の〝13フェイズ構造〟だろう。これはハイウッド脚本術をさらに発展させたような構成法で、著者曰く、面白い物語にはすべてこの13フェイズ構造が当てはまるということだ。
そのことを証明するために『スターウォーズ』や『千と千尋の神隠し』を例にあげ、細かく説明している。物語全体のどの部分で何が起きるのか、どのような効果を狙っているのかを示し、どうすれば面白い作品になるのかを分析している。
たしかにこの13フェイズ構造のプロットはストーリー性豊かだと思うけれども、すべての作品にそれが当てはまる訳ではない。にもかかわらず、この方法が絶対だというような主張をしているのが少々鼻についた。効果的であることは確かなので、知識として知っておくぶんには良いと思う。

本書はそれぞれの用語を独自の基準で定義していたり、聞き慣れない言葉を使用しているので、最初の内わかりにくさを感じる。題名にあるような超簡単! という技法書ではない。しかし、至極具体的に、体型的に説明しているので、何か自分にとって役に立つことを見つけ出し、それを活用することができるはずだ。 
 

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