感想 ★★★★☆
あらすじ
第二部の続きであるブラックジャックから話が始まる。
バロット、ウフコックのコンビは見事な連携で秀才ディーラーを打ち負かし、カジノ界の用心棒といわれる天才ディーラー、アシュレイと対戦する。
圧倒的な力を前に崖っぷちに立たされるバロット。しかし、彼女は己の深層心理と向き合うことによって新たなレベルに成長し、徐々に形勢を逆転させていく。
そして、カジノでシェルの秘密を手に入れたバロットたちは彼の過去を知る。 なぜバロットが殺されそうになったかもついに明らかとなる。
それから紆余曲折を経て、因縁の相手ボイルドと最後の対決を迎えるのだった。
感想
カジノでの対決には手に汗握るものがありました。最初のディーラーとの対決では、確率論などが駆使された見事な戦略で勝利する。
ディーラーを袋小路に追い詰める場面は、まさにチェックメイトといった具合で爽快感があります。
続いて現れる天才ディーラー、アシュレイは只者じゃない雰囲気満点で、いよいよボスが出てきたといった感じ。
用心棒といわれるにふさわしい魅力的なキャラで、敵ながらバロットの先導者のような役割も果たします。
物語を締めくくる宿敵ボイルドとの戦闘は、とても丁寧に描かれています。別の言い方をするなら長すぎる。
細かいところまで描写されているものの、それによって戦闘シーンの醍醐味であるスピード感が失われていました。
最後の戦いは冗長で面白いとは思わなかったけれど、決着の付け方はそれしかないという納得感のあるものでした。
本作を読み終わった後に、これで終わってしまうのかという寂しさを感じました。そう感じるということは、それだけ物語の世界に引き込まれていた証拠ですね。
他にもいろいろとシリーズが出ているようなので、そちらも読んでみたいと思いました。
あとがき
『マルドゥック・スクランブル』はアニメ化や漫画化もされているようです。このようにいろんな分野に広がりを見せているところからも、本作の人気の高さが窺えます。
ＳＦとしての世界観はしっかりと構築されているし、主人公の成長の様子が丁寧に描かれているので、一つの作品としての完成度が高い。
人気があるのも納得の作品。
ただし、文体に関しては好みがわかれそう。漢字に横文字のルビがふってあったり、倒置法が多用されています。
読み辛いというほどではないけれど、くどく感じるところが何箇所かありました。
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