『マルドゥック・スクランブル The 2nd Combustion』 冲方丁 

感想 ★★★★☆

三部作の第二部。中途半端なところで終わった第一部の、ボイルドとの戦闘から話が始まります。

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あらすじ

傷だらけになりながらも何とかボイルドを退けたバロット一向は、通称〝楽園〟と呼ばれる宇宙戦略実験施設に逃げ込む。

そこはかつてドクターが研究をしていた場所で、ウフコックが生まれた場所でもある。全ての禁じられた科学技術が生み出された始まりの地だ。

楽園でバロットは自らと同じような特殊能力を持つ者たちと触れ合い、ささやかな休息を得る。その後、そこにある情報機関のプールに干渉して、シェルの秘密が隠された場所を探し当てる。

シェルの経営するカジノの、百万ドルチップに秘密が隠されていることを知ったバロットたちは、 カジノに乗り込み、様々なゲームを攻略してチップ獲得を目指す。

しかし、カジノ側のディーラーも只者ではなく……。

 

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感想

第一部ではアクションやバトルが中心だったので、全編そういう流れで進むのだろうと思っていました。第二部ではそれをいい意味で裏切られた。

ギャンブルでの勝負という頭脳戦にシフトチェンジしたのは面白い試み。

戦闘だけではない能力の使い方を提示して見せたのは見事。作品に多様性をもたらしたこのカジノのシーンが、本作の最大の見せ場です。

カジノではポーカーとルーレットの勝負が行われます。各ゲームのルールについては、詳細に書かれていません。煩雑になるのを避けるために省略しているのでしょう。

それらのルールを読者も知っているものとして進められます。なので、読む前にある程度どういうものか勉強しておいた方が、より楽しめるでしょう。

ちなみに、ポーカーではホールデムと呼ばれるスタイルで勝負が行われます。

この第二部では、ボイルドの過去も語られます。

なぜボイルドが特殊な能力を得ることになったのか、なぜ感情を失うことになったのかが明らかになります。悲しくて辛い心の傷だ。

 

あとがき

第一部、第二部を通して主要キャラクターの事情が大方わかり、だんだんと愛着が湧いてきます。第三部でどういう結末を迎えるのか楽しみだ。

コメント

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