『第一次世界大戦』木村靖二 ちくま新書

感想 ★★★★☆

ヨーロッパで繰り広げられた第一次世界大戦は日本がそれほど深くかかわっていないこともあって、詳細を知らない人は多いと思う。かくゆう僕もその一人で何も知らない状態で読み始めたのだが、本書は入門書に最適だと思った。どうして列強同士が戦争することになったのか、あれほど大きな戦争へ発展したのは何故なのか、それが時系列に沿って書かれていてわかりやすかった。


序章  第一次大戦史をめぐって
第一章 1914年大戦の始まり
第二章 物量戦への移行と防御の優位
第三章 戦争目的の重層化と総力戦体制の成立
第四章 大戦終結を目指して

本書は上記のような構成になっていて大まかな流れを掴みながら学べるようになっている。ページ数も200ちょっとで身構える必要がないから手にとり易い。そういう意味でも入門書には丁度いい。主にドイツを中心に書かれていて、大戦中の日本の動向などはおまけ程度にほんのちょっと触れている程度。そしてロシア革命の詳細も書かれていないので、それらを詳しく知るためには別の本を読む必要があります。

大戦のきっかけがサラエボ事件というのは周知のことですが、そのオーストリア、セルビア間の問題がなぜ列強同士の戦争にまで拡大したのか、各列強の思惑が知れたのがよかった。そこにはやはりドイツが絡んでいた。第二次大戦の原因がドイツなのは知っていましたが、第一次大戦でもこれだけ大きな要因となっていたのは知らなかった。言うまでもなくそれ意外にも複雑な要因が多々あります。でも個人的な感想として、この頃はドイツの時代という感じがする。もちろんいろんな意味で。

この戦争の後、ロシア、オーストリア、オスマンなどの多民族国家が解体されて、新たな国がいくつか生まれた。その意味で歴史の転換点といってもいいほどの重要な戦争。敗戦国となったドイツにはこの後ナチ党が誕生し、第二次大戦へと舵をきることになる。

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