『明治日本の産業革命遺産』岡田晃 産業面から明治を解説した実用書

 

感想 ★★★★★

日本の転換点とも言える明治維新。本書はその時代に起きた日本における産業革命を解説した1冊。日本がどのように近代化していったのか、それを俯瞰的に知ることができます。

特に近代化に不可欠な鉄、造船が発展するまでを、体系的に学べてとても勉強になりました。

産業に関する幕末の各藩の動き、三菱、三井などの財閥の成り立ちなども分かり、非常に読み応えがありました。

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あらすじ

本書は全六章から成ります。

第一章は薩摩藩藩主・島津斉彬について。

第二章は長州の松下塾、吉田松陰、伊藤博文など

第三章は佐賀藩

第四章は幕府で活躍した江川英龍

第五章はトーマス・グラバー

第六章は三菱の成り立ちや岩崎弥太郎について

第七章は製鉄の歴史

第八章は石炭産業について

 

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感想

明治維新と聞いてまず思い浮かぶのは、新撰組や坂本龍馬についてだと思います。日本の歴史として学ぶのは、そういう政治面なのでこれは当然ですね。

産業分野に目を向けると、こちらでもいろんな革新が起きていて、日本における産業革命もこの時同時に起きていました。

日本は技術大国といわれますが、その起源がわかる良書。

本書では明治期の産業面にスポットを当て、その方面で重要な活躍をした人物たちを網羅しています。

明治維新に詳しくない僕にとっては知らないことだらけで、とても興味深かった。

それにしても、当時の日本は欧米とかなり差があったんですね。本書に登場した人たちが、もし危機感を抱いていなかったら……そう考えると空恐ろしくなります。

おそらく、日本も他のアジア諸国と同じように植民地にされていたのでしょうね。この頃の偉人たちは本当に有能だったんだろうなあ。

ちなみに僕は産業や経済について疎いです。企業の歴史とか成り立ちとかには興味あるんですけどね。不勉強ゆえにそっち方面のことは無知に等しい。

日本の近代化への道のりが、反射炉(大砲の製造)と造船から始まったことも、本書を読んで知りました。本当に勉強になることだらけだった。

そんな僕にとってはどの章も面白かったのですが、特に良かったのは第八章の石炭産業について。

現代人にとって欠かすことのできないエネルギー問題。それについての話はやはり興味を惹かれます。

現在は廃墟として有名な軍艦島も出てきますしね。軍艦島が炭坑だったのは知ってましたが、詳しいことは何も知らなかったので勉強になりました。

現代の主要エネルギーは石油ですが、当時は石炭。その石炭事業を日本がどのようにやっていたのか。

この分野を請け負っていたのが三菱や三井など、いわゆる財閥と呼ばれた企業。

日本に大きな影響を及ぼすほど巨大だった財閥は、やはりエネルギー分野も押さえていたのかと、妙に納得しました。

 

あとがき

明治時代や明治維新に興味がある方は、知識欲を刺激されると思います。坂本龍馬や新撰組には詳しくても、産業面の動きは知らないと言う人もいるのではないでしょうか。

本書を読めば、より多角的にこの時代の流れを知ることができます。おすすめです。

 

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