感想 ★★☆☆☆
非常に映像的な作品でスピード感があり、なおかつ、ページ数が少ないので一気に読めてしまえます。ストーリー自体は悪くなかったけれど、小説としては物足りなかったです。
登場人物に感情移入は出来ないし存在感が薄いです。したがって、サスペンスでありながらハラハラしなかったです。
あっと言う間に読めてしまえるから、普段あまり小説を読まない人にはいいかもしれません。それと、明らかに若い読者を想定しているので、十代の学生さんにおすすめです。
山田悠介氏の作品などが好きな方はきっと気に入るでしょう。
本書は年末年始を舞台にした三つの話が、リアルタイムで交錯しながら進んで行きます。
寝台特急で一人旅をしていた少女が、ひょんなことから誘拐事件に巻き込まれる話。
帰省して誰もいなくなった学生寮で一夜を過ごすことになった少女の話。
自宅に侵入してきた二人組に襲われる少女の話。
接点のない三つの話がやがて一つに繋がっていくという趣向。行方不明の少女、スナッフフィルム、新興宗教など、様々なことが関わって来きます。
ハチャメチャな話で結末もハチャメチャなんだけれど、それ自体は気にならなかったです。文章がもったいなかった気がしますね。
もうちょっと違う語り口で描写に厚みを持たせていたら、小説としても堪能できたはず。アイデアや試みは面白いと思うんですけどね。
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