『上石神井さよならレボリューション』長沢樹 ほのぼのした青春ミステリ小説

部活

感想 ★★★☆☆

高校生が主人公の日常の謎系・青春ミステリ。消失シリーズと違ってこちらはほのぼのとしており、気軽に読むことができます。加えて連作短編集なので、空いた時間に読むのに丁度いいですね。


五編が収められた本書の中で、ミステリとして面白いと感じたのは、表題作の『上石神井さよならレボリューション』だけでした。それ以外の作品には、何だよそれ、と思ってしまうようなトリックもあって、謎解きを期待して読む本ではないです。

青春ものとしては好感度が高く、終始楽しく読めました。

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キャラクターが個性的

ミステリとしては弱いけれど、登場するキャラクターが魅力的な面白い小説です。僕は消失シリーズよりもこちらの方が好きかも知れません。

肝心の登場人物は以下のような具合。

設楽洋輔
本作の語り手。部活は写真部でそれなりに腕が良いため、美少女の盗撮を頼まれたり、野鳥の撮影を頼まれたりします。どこにでもいる普通のタイプで、個性豊かなキャラたちに振り回されます。

岡江和馬
本作の探偵役。ロシア人の血が八分の一入っている美少年で、おまけに成績も学年トップの天才。ただ、女性に対して変わったフェチを持っており、それが感じられるような写真を撮ることを設楽に要求する。

川野愛香
陸上100mの非公式記録を持つ美少女。鳥の事が大好きな天然娘で元気溌剌。何を考えているのか今一つわからないところがある。

国府田彩夏
なんでもない事を卑猥な事に結びつけてしまう妄想系女子。眼鏡をかけた地味な見た目だったが、岡江によって徐々に垢抜けていく。

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感想

タイプとしては米澤穂信の古典部シリーズのような感じでしょうか。個性豊かな登場人物たちの掛け合いは、面白味があって微笑ましいです。

数多くある他の青春ミステリと違うところは、この作者の特徴ともいえるエロ要素がある点。 まあ、エロと言っても本当にエロいわけじゃなく、下ネタ的な感じ。だから、一見すると爽やかなのに、そうとは言いきれない作者らしい作品になっています。

もし漫画化かアニメ化でもされたら人気が出そう。個性的な面々が繰り広げる青春日常ものが好きな人におすすめです。

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