感想 ★★★☆☆
『白痴』や『堕落論』などで有名な純文学作家・坂口安吾が書いたミステリ小説。坂口安吾はもともとミステリが好きでクリスティやカーなどを読んでいたようだ。
そんな著者が書いたのは、山奥の豪邸に集まった人達の間で巻き起こる連続殺人事件。なんと計八つもの殺人が起きます。
豪邸に集まったのは文学者、詩人、女優など芸術家肌の男女ばかりで、おもけに性格に一癖も二癖もある変人揃い。
彼らの間には様々な愛憎が渦巻いており人間関係は複雑。 なので最初は人物と関係性を理解するのに時間が掛かりました。
あれよあれよという間に次々と人が死んで行って、最後に明かされる結末はなかなか衝撃的。
よく考えればわかりそうな不思議な点があるのに、読んでいる最中はまったくそのことを不思議に感じませんでした。犯人を当てるのは困難だと思う。
ミステリ作家ではないのに、ミステリとしてのクオリティが高かった。長く読み継がれているのも肯ける作品。
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