『夜の蝉』 北村薫  

感想 ★★☆☆☆

女子大生の「私」が主人公のシリーズ二作目で、三つの短編が収録されています。

アマゾンでやたらと評価の高い作品。なぜ、これほど高評価なのか疑問に思いました。楽天の方を見てみるとこちらでも高い評価を得ています。

おそらくこのシリーズのやさしい雰囲気が多くの人の癒しとなっているのでしょう。

第三作目の『秋の花』は面白いと思ったけれど、『夜の蝉』に関しては残念ながら引き込まれるものがなかった。

些細な謎が合理的に解かれて、これぞ日常の謎といった感じの作品ではある。 でも、ミステリとしての驚きは得られなかったし、この小説の持つ雰囲気に入り込めなかった。

何を求めて読むかで評価が変わりそうです。優しい世界に浸りたい時は最高の作品となるでしょうね。刺激や驚きを求めて読むタイプではないです。

本書では様々なエピソードを通して主人公の内面、価値観を知ることができます。 やさしくて清らかな人物像に多くの人が共感を抱いているのでしょう。

脇を固める登場人物もいい人ばかり。まるで、ぽかぽかした陽だまりの中にいるような気分になります。

著者の北村薫はとてもやさしい人なのでしょう。

印象に残ったのは表題作『夜の蝉』の中で語られるスリッパのエピソード。幼い姉妹のそれぞれの葛藤にリアリティがあって上手いなと思いました。

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