どんでん返しの青春ミステリ小説『消失グラデーション』長沢樹  

 

感想 ★★★☆☆

第31回横溝正史ミステリ大賞受賞作品。選考委員の綾辻行人、北村薫、馳星周が大絶賛していたので、以前から気になっていました。

綾辻行人と北村薫はミステリについての知識も豊富で実力も折り紙つき。馳星周も痛みをともなうノワール小説を書いている人気作家。

そんな方々が口をそろえて絶賛しているのだから、さぞかし凄い小説なのだろうと期待していたけれど、そこまででもなかった。

素直に賞賛できず、う~んと言いたくなりました。

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あらすじ

女子バスケ部のエースであり、人気モデルの綱川緑が、校舎の屋上から転落する。その場面を目撃した椎名康は、地面に横たわる綱川を助けようと現場へ駆けつける。

だが、何者かに襲われ昏倒させられてしまう。その間に綱川は密室となった学園から消失していた。その謎を解明するため椎名とその友人、樋口真由が奔走する。

 

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高校のバスケ部を舞台にした青春ミステリ

登場するキャラクターは個性的で良かったです。それぞれ悩みを抱えており、バスケ部内の葛藤や、恋愛模様なども描かれており、ティーンたちの心の機微を垣間見ることができます。

尚、それぞれの問題は結構ヘビーなので、ライトな感じの日常系青春ミステリとは異なります。そういう意味で、未熟と成熟の間に立つ彼ら、彼女らの青春群像ものとして読めば面白いです。

 

本格ミステリにおいて重要なトリックについて

選考委員があれほど絶賛しているのだから、何か前代未聞の人体消失トリックが使われるものと期待していました。

よほど意表をついた斬新なものなのだろうと。でも、残念ながらそのようなトリックではなかった。

人体消失トリック以外にも謎やトリックが仕掛けられているので、物足りないというわけではないです。

最後にはどんでん返しが待っていて、本格ミステリに期待する驚き、カタルシスが感じられるような構成になっています。

しかしながら、選考委員の方々の賛辞には首をひねりたくなります。こういう推薦文は、大袈裟に褒めたたえるものと相場が決まっているとしても、少々煽りすぎだと思う。

そこまで凄いというでわけではないです。

だから、どんでん返しに期待するのではなく、青春小説として楽しむつもりで読むのが正確だと思います。それと、装丁の写真が印象的でとても良いですね。

コメント

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