内容(「BOOK」データベースより)
「幻の探偵作家」の初作品集。理論と実践で提示する“本格推理の真髄”がここにある!摩耶正シリーズ全短編収録。
part1 密室犯罪学教程 実践編
掌編10作
part2 密室犯罪学教程 理論編
密室に関するエッセイ
part3 毒草/麻耶の場合
探偵役で麻耶が登場する短編10作
感想
感想 ★★☆☆☆
上記のような構成になっている本書。天城一という作家は寡聞にして知りませんでした。本業は大学教授で数学者だったらしい。
残念ながらpart1とpart2にある作品に面白いと思えるものはなかったです。
part2に収められている『高天原の犯罪』は興味深かったし、『明日のための犯罪』はそれなりに楽しめましたが、特筆すべき点はなかったように思う。
どうやら作者の天城氏は密室犯罪という様式にこだわりがあっただけで、小説としてのおもしろさを追及していたわけではないようです。
part2の密室に関するエッセイは楽しんで読めました。
天城氏は江戸川乱歩と親交があったらしく、乱歩に関する話がところどころ出てきます。敬意を表するがゆえの批判といったところでしょうか。
「明智小五郎を作ったのが失敗だったのではないか」とか、「密室トリックを作るのは難しくない」とか、そんなようなことが書かれてある(乱歩はトリックを捻出するのに苦労していた)。
この章では密室に関するトリックを分類し、国内外の著名な作品を例にだしながら評論しています。
そして、自身の作品を例に、トリックを思いついてから作品に仕上げるまでの過程を解説しています。
評論の部分は面白いけれど、作品は退屈なものが多いので一般受けはしないでしょう。
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