著名な作家１１人の短編と評論２つを加えたお得な一冊。
『凱旋』 北村薫
エッセイ風の掌編。
『彼女がペイシェンスを殺すはずがない』 大山誠一郎
ジョン・ディクスン・カー作品のパスティーシュ。シンプルでありながら効果抜群のトリック。謎解き部分で膝を打つこと受け合いのあっぱれな作品。
『曇斎先生事件帳 木乃伊とウニコール』 芦辺拓
江戸時代を舞台にした捕物帳。密室の中でウニコール（ユニコーン）の角が刺さって死んだ男の謎を解く。特筆すべき点はないが好きな人は好きだと思う。
『百万のマルコ』 柳広司
主人公のマルコが牢獄の中で仲間たちに不思議な話を語る。黄金の国ジパングからいかにして黄金を手に入れたか。その時のエピソードをドラマチックに語る。
結末は容易にわかるがなかなか面白い。
『目撃者は誰？』 貫井徳郎
主人公は同僚の妻と不倫をしていた。その現場を誰かに目撃されたらしく、彼の元へ脅迫状が届く。主人公は目撃者探しを始める。最後には殺人も起こる。
『腕貫探偵』 西澤保彦
バス停で発見された遺体。その遺体がなぜかアパートの部屋へと移動していた。主人公の大学生は市役所の苦情係の公務員に事件の相談をする。腕貫をつけたその公務員の助言により事件は解決する。
『GOTH リストカット事件』 乙一
少し価値観の狂った登場人物が活躍する学園ミステリ。同名タイトルの連作短編集の中の一編を収録している。面白い作品。短編集で読んだ方がより楽しめる。
『比類のない神々しいような瞬間』 有栖川有栖
暗号解読に焦点をおいた作品。
『ミステリアス学園』 鯨統一郎
この作品はこれ単品で読むのではなくて、連作短編集として読むべきだと思う。僕はその本を読んではいないのだが、この話だけピックアップしても仕方がないような気がした。
『首切り監督』 霞流一
映画監督とプロデューサーの首なし死体が発見される。おどろおどろしい語り口ではないが、首を切った理由にはゾッとさせられた。
『別れてください』 青井夏海
助産師が主人公の話。複雑な人間関係の謎を解く話。殺人などは起きない。
評論 論理の悪夢を観る者たち〈日本篇〉 千街晶之評論 本格ミステリに地殻変動は起きているか？ 笠井潔
評論はどちらも日本の近代ミステリ史について語っており勉強になった。
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