『名探偵はどこにいる』 霧舎巧

感想 ★★☆☆☆

『名探偵はもういない』の続編に当たる作品ですが、内容は完全に独立しています。謎解きと淡い恋物語が合わさった感じで、基本的には過去を遡る話。

謎解きの方では過去に起きた双子による殺人事件を調査し、それに学生時代の主人公の恋愛が絡んで来ます。

スポンサーリンク

あらすじ

主人公の今寺刑事は、尊敬する後動警部が過去に携わった事件を再捜査することになった。
それは双子の姉妹による殺人疑惑。犯行計画を記したノートがあり、実際に彼女たちの男性教師の死体も見つかった。果たして彼女達による殺人なのか、それとも事故だったのか調べを進めて行く。

スポンサーリンク

前作との関連

過去の話でさらに過去について語られるので若干ややこしくはありますが、状況を把握するのに苦しむほどでもなかった。

この事件のトリックというか、思い違いには比較的早い段階で察しがつきました。伏線とかではなく感ですね。直感でピンと来る人は多いように思います。

この双子というのが前作に登場した双子です。後動警部も出ていました。そして鈴影さゆみという人物がいたのですが、本作はその娘なる人物が現われます。

ここで疑問に思ったのが彼女はいったい何歳なのかという点。鈴影さゆみは前作で独身だったのに時間軸が合わないように感じました。

相当若ければ可能だが、そういう描写はされていない。物語と直接関係ないにしても、引っ掛かって仕方なかった。前作で鈴影さゆみは主要キャラだったのだ。

恋愛小説

この作品の一番大切な部分は主人公の過去の恋愛部分でしょう。けれど僕はその部分が共感できなかったです。

読者にいったい何を伝えたかったのだろうと思う。有り体にいえば、今寺のことをずっと一途に思い続けてきた女が、報われないまま死ぬ話でしかないのだ。

少女は過去、そして現在も今寺をずっと思い続けていたふしがある。対して彼の方は別の女と結婚して幸せに暮らしているという状況。

センチメンタル風味にしてますが、結局どうしたかったのかよくわからない。人生の苦味みたいなものをこれで表現したかったのでしょうか。僕にはある種の自己陶酔に見えてしまった。

ミステリに重きを置いていたのなら、それほど気にならなかったかもしれない。けれど本作の場合はこちらの恋愛が主題のように感じたから、どうも納得できなかったです。

この辺は価値観の違いということになるんでしょうかね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました