『デッドマン』河合莞爾 あらすじと感想

感想 ★★★☆☆

第三十二回横溝正史ミステリ文学大賞受賞作。端正で読みやすい文章で手慣れている感じがしました。もう何作も書いているベテラン作家のようで、新人とは思えませんでした。

警察の捜査の仕方なども詳しく調べられていて完成度が高かった。大賞を受賞したのも頷ける作品。ただ完成している分、新人らしい突き抜けたものはなかったように思います。

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あらすじ

体の一部を切り取られた死体が東京のあちこちで発見された。この恐るべき猟奇事件の指揮をとることになった警視庁捜査一課の鏑木。

鏑木は個性派揃いの同僚と科捜研の協力のもと、事件解決に向け奔走する。なかなか捜査が進展しない中、死体のパーツを繋ぎ合わせて誕生した〝デッドマン〟なる人物からメールが届く。 

それがきっかけとなって物語は一気に動き出す。

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感想

ある意味で島田荘子の『占星術殺人事件』のオマージュ的作品。内容その他は全然違うものの、 『占星術殺人事件』に出てきたアゾートを上手く利用していました。

本作は警察が捜査を進めるうちに真相が明らかになっていくタイプのミステリで、一般的に警察小説と呼ばれています。

警察の捜査の仕方や、司法解剖に関することも抜かりなく調べられており、このジャンルの良さがしっかりと出ていました。

なぜ死体の一部が切り取られていたのか。その理由はなかなか斬新なもので一読の価値あり。かなり特殊で突飛な考え方なので、意外性は充分あります。

四人の主要キャラクターについてはそれほど興味を惹かれませんでした。特に若い刑事とベテラン刑事の二人は、どこかで見たことあるような類型的な人物造形だった。

キャラが魅力的だったら言うことなかったですね。

あとがき

デビュー作でこれだけクオリティの高いミステリを書けるとは凄いですね。これからが大変楽しみな作家さん。応援したいですね。

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