『φは壊れたね』 森博嗣 


内容(「book」データベースより)
その死体は、Yの字に吊られていた。背中に作りものの翼をつけて。部屋は密室状態。さらに死体発見の一部始終が、ビデオで録画されていた。タイトルは「φは壊れたね」。これは挑戦なのか?N大のスーパー大学院生、西之園萌絵が、山吹ら学生たちと、事件解明に挑む。Gシリーズ、待望の文庫版スタート。

感想 ★★★★☆

S&M、V、四季シリーズに続くGシリーズの第一弾。

過去シリーズで僕が読んだのは『すべてがFになる』だけでそれ以外は読んでいません。そんな状態でいきなりこのシリーズを手に取りました。

したがって犀川、西之園コンビにはなんの思い入れもないです。過去シリーズに親しんでいない人間のフラットな感想を述べたいと思います。

まず文章が読み易くてよかった。さくさく読み進めることができるので、時間に余裕のない人や普段本を読まない人にもおすすめ。

本作では殺人事件を扱っていますが、雰囲気としては日常の謎のような感じ。

大学生が主要登場人物なので終始ほのぼのしており、そういった系統が好きな人にはうってつけの作品。

キャラクターに生き生きとした人間力みたいなものはなくて、淡白な印象を受けました。小説のキャラクターとしては弱いかなあと、最初は思いました。

しかし、現代人はこんな感じかもしれないので、そう考えるとリアリティーがあります。

トリックについては合理的に出来ています。謎解き部分でちゃんと納得できる。

とはいえ、驚嘆するほど画期的なものではないので、カタルシスを得るほどではないです。

本書は気軽に読めるライトな作品。トリック部分が合理的にできていたので満足できました。

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