
感想 ★★★☆☆
でも通常イメージするような本格警察小説とは違うので、その点は注意が必要かも。中盤以降は少しハリウッド映画的なところが無きにしも非ず、です。
あらすじ
第一の事件では駅構内に設置された巨大水槽で、裸の女の遺体が発見される。しかも現場は衆人環視状態の密室。
その後に発見される遺体も常軌を逸したような陰惨なものばかり。状況も同じように特異だ。
そんな不可解極まる事件を担当するのは、エリート街道をひた走る女警視の箱崎ひかり。年齢は25歳。服装はゴスロリという奇抜なキャラ。
対してコンビを組む浦安は、定年を間近に控えた無気力な巡査部長。だが、かつては捜査一課でバリバリ仕事をこなしていた切れ者。
異色のコンビはこの難事件を解決へと導けるのか。
感想
事件が魅力的で、導入からつなぎにかけては興味を惹かれました。でも物語が進むにつれ、次第に距離をとるようになりました。継続してのめり込むことができなかったのです。
その一番の理由はスケールが大き過ぎたことですかね。謎の組織が絡んできたり、事件の動機がアレとあっては少々現実味に欠けます。
近未来の話としても、僕には説得力を感じなかった。これが海外、例えばアメリカが舞台ならまた印象が違ったかも知れない、とは思う。
ただ、密室トリックについてはそれほど面白くなかった。確かに盲点ではあったし納得もできるけれど、思わず膝を打つようなカタルシスを感じるタイプではなかったですね。
あとがき
本作はまさに本格ミステリと警察小説が合わさったような作品。
警察の機動力をフル活用して捜査しているし、論理的に解決もしている。にもかかわらず、そこまでの満足感は得られなかった。
それはキャラや設定のせいで、真剣なのかふざけているのかわからなくなる時が、頻繁にあったせいかもしれません。あるいは、著者独特の文体のせいかもしれないし、僕個人の趣向の問題かもしれない。
あらすじを読んで期待していただけに、微妙な作品という印象が強い。悪くはないけれど、積極的に人に薦めることはないでしょうね。


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