『氷菓』 米澤穂信

感想 ★★☆☆☆

第五回角川学園小説賞、ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞受賞。アニメ化もされた青春ミステリ小説。

内容も分量も軽いので手軽に読むことができます。ほのぼのとした青春小説で、始まりから終わりまでその雰囲気は変わりません。

青春小説といっても、その年代独特の甘酸っぱさや葛藤などがない、平和的な物語なので好みは別れそう。

本作は古典部の四人が日常の謎を解く連作短編集ですが、ミステリとしての面白さは感じられなかった。

メインの謎以外は、登場人物の紹介として本当に瑣末な謎が用意されているに過ぎません。いくら日常の謎といってもミステリとして評価することはできないでしょう。

三十三年前の出来事を推論するメインの謎は、日常の謎らしかったと思う。しかし、丁寧に伏線が敷かれていたわけではないし、真相へと向かう道筋も鮮やかとは言い難かった。

『氷菓』は登場人物の紹介といった感じで、これ一冊で楽しむのは難しいと思いました。シリーズ化されているので、登場人物の説明が終わった次巻以降で、どんな謎を扱うのか気になるところ。

コメント

  1. 青大将 より:

    「満願」が山本周五郎賞はじめ三つの賞を受賞したので、米澤穂信さんについてネットサーフをしていた所、こちらに辿り着きました。
    「氷菓」はどちらかと言うと、主人公が周りの個性的な人間達にもまれて、だんだんと成長して行く、と言うのがミステリじゃない、もう一つの物語の軸になっていると感じました。
    一応、シリーズの中には推理作家協会賞短編集にノミネートされた短編もありますし、この作家の成長の足跡をみる、と言う楽しみ方も出来ると思います。
    突然の感想、失礼しました。

  2. 管理人 より:

    青大将さん、コメントありがとうございます。
    なるほど、卓見ですね。
    確かにそういう楽しみ方ができそうです。
    米澤穂信さんは一流のミステリ作家だと思ってますし、
    氷菓のキャラクターには好感を持っているので、
    シリーズの続きを読んでみようと思います。

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