タイムスリップ小説 『リアクト』 法条遥

senseijuttsu

感想 ★☆☆☆☆

『リライト』、『リビジョン』に続くシリーズ三作目。このシリーズはどれもタイムスリップものです。

気をつけたいのはすべての話がつながっているため、これ単独で読んでもわけがわからないということ。必ず前二作を読んでおく必要があります。

そして出来れば連続読んだ方がいいでしょうね。僕はけっこう間をあけてしまったので、人物の関係性を思い出すのに苦労しました。

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あらすじ

本作の主人公は、西暦3000年でタイムパトロールをやっている少女ホタル。彼女は当時発生した地震の調査をするために、1992年にやって来る。

タイムパトロールには、2311年に失踪した科学者を捜索する、という最優先事項がある。科学者は時を超える薬を開発してどこかの時代に逃げているのだ。タイムパトロールは新しく薬を製造するために、どうしても彼を見つけ出す必要があった。

1992年に赴いたホタルは、そこで『リライト』なる小説の存在を知る。そして、その本に書かれている未来からやって来た少年保彦が、失踪した科学者に違いないと確信して調査をする。

しかし、時を巡る複雑な出来事に巻き込まれていくのだった。

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感想

とにかくややこしい話で、終始もやもやしてしまいました。 ホタルの他にも主要キャラが3人いて、それらが交互に語られるので把握するのが大変。

これまでの話を覚えてないと、おそらく混乱するでしょう。

本作はこれまでの辻褄合わせをしている印象が強かったです。おそらく『リライト』を書いた時点では、ここまで想定していなかったのでしょう。

どうすれば矛盾が出ないか考えた結果こうした、という気がしました。そのための方法が『リライト』を全否定、というか虚構のものにするというアイデア。

これはなかなか思い切りがあって面白かった。

難点はやはり複雑にし過ぎて分かり辛くなっている点。だから驚きもカタルシスも感じられず、読後が気持ち良くないのです。

分かり辛いといっても、別に内容が難しいというわけではないです。表紙の絵を見てもわかるように、ターゲットは十代の若者でしょう。文章もさくさく読めます。

それでいてすっきり納得させてくれないので、何だか不満が残ってしまう。さらに各キャラクターから今一つ、感情が伝わって来ないから心を動かされない。

あとがき

キャラクターの圧倒的な魅力かストーリーの妙、やはりそのどちらかは欲しいところ。せっかく面白いことをやっているのに、勿体ない気がしてならない。シリーズ第四作が出ているようなので、そちらに期待したいですね。

コメント

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