『ユダヤ人の歴史』(河出文庫) レイモンド・P・シェインドリン 訳 入江規夫

感想 ★★★★★

紀元前から現在までのユダヤ人の歴史を網羅した本書。僕のように何も知らない人間が大雑把な流れを把握するのに丁度いい本だと思う。第一章から第十一章までで350ページくらい、その後あとがきや年表、牽引などで50ページ近くあり、総ページ数は403ページ。普通の小説と同じように文字がびっしりで図などはほとんどないので、よくある参考書感覚で買うと読むのが大変かもしれない。


なぜ僕がユダヤ人の歴史について知りたいと思ったかというと、彼らはとても特殊な民族だからです。そしてユダヤ系に偉業を成し遂げた傑物が多いことに惹かれた。誰もが知る科学者のアインシュタイン、リーバイスの生みの親リーバイ・ストラウス、金融業で有名なゴールドマン・サックスの創業者マーカス・ゴールドマン。彼らは皆ユダヤ系だ。他にも挙げればきりがない。もう一つの理由はやはり第二次大戦中に起きた悲劇ホロコースト。どうしてこんなことが起きたのか知りたいと思ったのが大きい。

本書はユダヤ人の文脈、流れを大雑把に知るのに適しています。彼らの歴史には大きな出来事が多いので、興味を持った個々の事象についてはそれ専門の本を読んで知識を深めるのがいいと感じた。ユダヤ教とキリスト教の対立、ホロコースト、イスラエルと中東諸国の関係、この辺りのことはそのことだけに焦点を絞った本を読まないと、本書だけでは理解しきれない。例えばホロコーストについてはドイツの第一次大戦からの歴史も勉強しないとダメだと思った。

それにしても西欧の歴史は本当に複雑だ。面白いといったら語弊があるかもしれないが、興味深いことばかりで下手な漫画やアニメよりもよっぽど面白い。今では考えられないほど立場が不平等でしかも残虐だったりするので、現実とは乖離したストーリー性を求められるゲーム、漫画、アニメのモチーフにされるのも納得である。

話をユダヤ人のことに戻すと、第二次大戦中に迫害されたのにはかなり根深い理由があるということが本書を読んでわかりました。そしてそのことは金融関係に強いことにも関係している。本書はタイトル通りユダヤ人の歴史について知りたい人には最適の一冊。ただ小説と比べると文章は若干読み辛い時がありました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました