感想 ★★★☆☆
覆面作家シリーズの一作目。
このシリーズは漫画的なところがあって文章も読みやすいので、普段小説を読まない若い人にも好かれそうです。
ただ今読むと古さを感じる描写が多々あります。テレホンカードやワープロが出てきたりと、現代では馴染みのないものばかり。
だから逆に時代を感じられて良い、という可能性もあります。
感想
語り手は推理小説誌の編集者、岡部良介。彼の勤める出版社へ一通の原稿が送られてくるところから物語はスタートします。
原稿を読んで才能を感じた良介は作者のもとを訪ねる。そして、驚愕する。
作者は執事のいる豪邸に住んでいる十九歳のお嬢様で、天使のように美しかったのだ。
そればかりでなく、彼女は家の外に出ると人が変わってしまう二重人格の持ち主で、良介はふたたび驚かされる。
本書は三篇が収録された連作短編集。各篇で起こる事件をお嬢様の新妻千秋が、抜群の推理力を発揮して解決します。
家では繊細でおとなしいのに、ひとたび外へでると破天荒な人物へと変貌する。そんな彼女に振り回される良介とのコンビは読んでいて楽しいです。
そんな設定は面白いものの、ミステリとして特筆するほどの何かがあるわけではありません。二人のやり取りやキャラクター性を楽しむ小説ですね。
気軽に読める作品なので、ちょっと時間が空いたときなどには最適。
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