『さよならドビュッシー』 中山七里

感想 ★★★☆☆

2009年に『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した作品。

この賞はミステリーと銘打ってますが、ミステリーだけでなく、エンタメ全般の作品を募集しています。

他のミステリー系の公募、例えば江戸川乱歩賞や鮎川哲也賞とは異なり、ミステリ度よりも面白さを重視しているようです。

本作『さよらならドビュッシー』は、ピアニストを目指す女子高生を主人公にした青春音楽ミステリ。

ミステリとしての出来は普通ながら、青春小説としては良い作品だと思います。
 

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あらすじ

晴香は火事で全身大やけどを負いながらも、イケメンピアニストである岬の指導を受け、コンクール受賞を目指し、レッスンに明け暮れる日々を送っていた。

そんな彼女は何者かの悪意によって何度も命を狙われる。やがて、晴香の母親が亡くなるという事件が起こり――

 

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感想

はたしてこの作品をミステリにする必要があったかと、疑問に思いました。

ピアノに打ち込む主人公の姿が、生き生きと描かれていたので、それを前面に押し出した爽やかな作品に仕上げた方がよかった気がする。

ミステリを読み慣れている人が本作を読むと、すぐにあるトリックが頭をよぎるはず。

そのトリックを使うための絶好のシチュエーションが訪れるからです。

僕はその部分を読んだ時に、おや、あのトリックを使う気か? と身構えてしまった。

読み進めるうちに、物語に引き込まれてその考えは捨てたのですが、終盤になってやはりそのトリックが使われたのが明らかになって、むしろ興をそがれました。

ミステリではなく、普通の青春小説にしていたらもっと好評だったのではないでしょうか。

そんな気がしてもったいなく感じました。

そしてタイトルの付け方はとても上手い。

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