『リスの窒息』 石持浅海  

感想 ★★☆☆☆

内容(「book」データベースより)
昼どきの秋津新聞社投稿課に届いた一通のメール。添付ファイルに写るのは、拘束された女子中学生だった。その後、メールが届くたびに、彼女は服を剥ぎ取られていく。見ず知らずの少女を救うため、新聞社は身代金を支払うべきなのか?前代未聞の要求を前に、必死に活路を見いだそうとする元社会部記者の細川と犯人との息をもつかせぬ攻防が始まる。
 

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感想

ミステリ作家・石持浅海が挑んだ誘拐もの。

本作は最初から狂言誘拐であることが明かされています。そして、犯人の女子中学生の視点と新聞社の視点が交互に語られる。

物語の設定は面白かった。脅迫状が送られてくる新聞社は、かつて取材相手を自殺に追い込んだことがある。

そして犯人である女子中学生は、家族を身内のごたごたで失っています。犯人は一人で生きていくための金を得るため、狂言誘拐をするのです。

リアリティは希薄だけれど、魅力的な設定ではあります。面白い作品になりそうですが、物語のすすめ方で失敗していると思いました。

たいして面白くなかったというのが、読み終わっての率直な感想。

出版社の内部事情など、わりと丁寧に描かれており、サラリーマン小説のようなところがあります。警察を介入させないための理屈も一応は納得できる。

しかし、それぞれのちょっとしたリアリティのなさのせいか、読み進めるうちにだんだんしらけてきました。

出版社側が狂言誘拐だと気づくきっかけも、いまひとつ納得できません。

総合的に見ると完成度の低い作品だと思う。おそらく人にすすめることはないでしょう。

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