ミステリの古典『毒入りチョコレート事件』 アントニー・バークリー

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感想 ★★☆☆☆

とても有名なミステリ小説なので,、どういうタイプの話かは読む前から知っていました。おそらく僕の好きなタイプじゃないだろうと思って、今までなんとなく読まずにいました。

でもやはりミステリの古典として外せない作品ゆえ、今回読んでみました。その感想はというと、案の定僕の好みとは違いました。

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あらすじ

ある男のもとに送られたチョコレートを、たまたま別の夫婦が食べた結果、妻は死亡し夫が意識不明の重体に陥る。

警察は捜査を進めるも、まったく手掛かりが掴めず、事件は迷宮入りの様相を呈す。そんな折、犯罪研究会なる面々が、事件の解決に名乗りを上げる。

犯罪研究会のメンバーは小説家や弁護士などで構成されており、いずれも犯罪に関する知識が豊富。そして抜群の推理力を有している。

彼らは独自に調査して、一人ずつ順番に事件の真相を発表をするのだった。

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構成

前の人間の推理を次の人間が否定して、また新たな推理を提示していくのが本書のスタイル。

犯罪研究会のメンバー六人がそれぞれ探偵役となり、もっともらしい推理を披露していく多重解決ミステリです。

要するに最初から終わりまでミステリの解決編のような感じ。だから動きがまったくないです。

一昔前のミステリだと、最後に探偵が一人で延々と事件の真相を語るものがあります。僕はそういうのが苦手なんですよね。

本作ではそれがずっと続くため、読んでいて疲れました。各自が披露する推理はそれぞれ面白いです。さらに、それが一旦否定されてまた別の解釈がもたらされるのだから、純粋に推理を楽しむのなら、最適な作品かもしれません。

ミステリの解決編の面白さを、存分に発揮しようというのが著者の意図だろうし、それはちゃんと成功しています。ミステリに新たな趣向をもたらした功績は計り知れません。評価されているのはわかります。

感想

好き嫌いはあると思いますね。

ミステリの解決編というのは、とどのつまり説明だし、本作の場合、一人が喋る量が多くて掛け合いの面白さがありません。

純粋に推理を楽しめる人以外は、冗長で退屈に感じる可能性があります。被害者が死ぬところもただ説明されるだけで、登場人物が目の当たりにするわけじゃないです。

物語に起伏がなく、目を惹くシーンがないのです。推理の披露が全編だと、動きのあるミステリが好きな僕には、ちょっとしんどかったですね。

残念ながら満足感を得られる作品ではなかったです。

コメント

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