海外ミステリー小説はそれほど読んでいないんですけど、僕なりに面白いと思ったものを16作選んでみました。本格ミステリー小説から冒険小説まで広義のミステリーです。
重視したのは読みやすさと展開の面白さで、どれも自信をもっておすすめできます。最近の作品はあまり読んでいないので、古いのが多いですね。
『そして誰もいなくなった』 アガサ・クリスティ
言わずと知れたミステリー小説の名作。孤島に集められた住人が次々と殺されていく話で、現代のクローズドサークルものは、この小説から多大な影響を受けています。多種多様なアレンジが生まれているので、今読んでも驚きは少ないですかね。
しかし、とても有名な作品なので、教養として読むのもありかと思います。それに、普通に楽しめるので読んで損はないです。
『死の接吻』 アイラ・レヴィン
ある男が金と地位を目当てに大富豪の娘を次々とたぶらかして、そのあげく自分の都合で殺人まで犯してしまう話。面白いストーリーをより魅力的にしているのが構成の仕方。三つの章に別れていて、それぞれ倒叙ミステリ、犯人当て、サスペンスとして読めるようになっています。
そうすることによって、犯人と被害者の両方の内面がわかり、いろいろな楽しみをもたらしてくれます。主要登場人物が学生でとっつきやすいし、少しの切なさも感じられて良い作品だと思う。
『ビッグ・ノーウェア』 ジェイムズ・エルロイ
著者のジェイムズ・エルロイは幼い頃に母親を殺され、その事件は未解決となっています。それから悪の道に進み、暗い青春時代を過ごした特異な経歴の持ち主。
そんな著者が描く暗黒物語は説得力と凄味を有している。本作は50年代のLAを舞台にした話で、暴力、エロス、金に満ちており、猟奇的なサイコミステリーと陰謀ものが融合したような感じ。
重層的で読みごたえは申し分ないけれど、登場人物が多いし、複雑すぎて読みづらいのが難点。好みは別れると思います。この殺害方法はかなりいかれてます。
『皇帝のかぎ煙草入れ』 ジョン・ディスクン・カー
向かいの家での殺人劇を目撃した主人公の女性が、その殺人の容疑者として疑いをかけられる。女性には完璧なアリバイがあったものの、ある理由からなかなかそれを言い出せずにいると、どんどん立場が危うくなって窮地に立たされます。
そんな彼女の無実を信じた頭脳明晰な博士が彼女を救うために奔走します。シンプルなトリックゆえに騙された時の衝撃は大きい。カーにしては読みやすく誰にでもおすすめできる面白い作品。
『シャドー81』 ルシアン・ネイハム
冒険小説の傑作として名高い作品。ベトナム戦争中のアメリカでジャンボジェット機がハイジャックされる事件が起きる。斬新なのはハイジャック犯が機内におらず、爆撃機で追尾しているところ。
いつでも撃ち落とせると脅して様々な要求をし、航空会社と政府は右往左往する。非常にスケールの大きな話だし、驚きも用意されていて堪能できる作品。
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』 ジェイムズ・M・ケイン
タイトルの郵便配達は内容とはまったく関係ないです。不倫カップルが一緒になるために旦那を殺害しようとする犯罪小説で、ラブストーリーとしても読めます。
何度も映画化されていることからもわかる通り、罪と愛を描いた魅力的な内容。不変のテーマなので、これからもずっと読み継がれていくのではないでしょうか。ラストは切なくて印象的。普段ミステリーを読まない人にもおすすめできます。
『Zの悲劇』 エラリー・クイーン
『Xの悲劇』から始まる悲劇四部作の第三作目。ミステリーのロジックとしては『Xの悲劇』や『Yの悲劇』の方が上でしょうが、個人的には本作が一番好きです。この時代に若い女性を探偵役にしたのは珍しいことだと思うし、現代にも通じるストーリーの豊かさがあって、とても読みやすい。
死刑執行までに事件を解決しなければならないという緊迫感のある展開で進み、解決のロジックには本格らしい鮮やかさがあります。いきなり本作を読んでも大丈夫なんですが、四部作すべてを読むつもりなら『Xの悲劇』から順番に読むことを強くおすすめます。
『幻の女』 ウィリアム・アイリッシュ
ミステリーのオールタイムベストで必ず目にする作品。かの有名な江戸川乱歩も本作を絶賛したそうです。
主人公が自宅に帰ってみると妻が殺されていて、彼は容疑者として逮捕されます。バーで出会った女と一緒にいたと彼はアリバイを主張するも、警察はその女を見つけられず嘘だと判断されてしまい、結局彼は死刑判決を言い渡される。
そんな窮地を救おうと彼の親友と恋人が独自に調査して幻の女を探索。最後まで飽きることなく、ぐいぐい読ませる展開で、結末にも意外性がある。傑作と評されるのも納得の面白さ。
『深夜プラス1』 ギャビン・ライアル
第二次大戦中にレジスタンスとして活動していた主人公は、大企業の社長をフランスからリヒテンシュタインまで運んでほしいと依頼される。
相棒としてヨーロッパでも有数の殺し屋が選ばれ、社長の秘書も加えた四人は、途中で敵対する組織に命を狙われながらも、懸命に目的地を目指します。
この小説の雰囲気は大好きですね。ハードボイルドのかっこよさがあるし、ヨーロッパを旅するロードムービーのような楽しさもあります。
『偽のデュー警部』 ピーター・ラヴゼイ
1920年代の豪華客船を舞台にした作品。船内で殺人事件が起きて、それをデュー警部を名乗って船に乗り込んでいた歯科医が捜査するはめになる。歯科医は不倫相手と一緒だったから偽名を使っていたのだ。
魅力的な登場人物たちによってどこかコミカルな感じがして、読んでいて心地いいです。タイタニック号やチャップリンの話題なども出てきて、作品としての雰囲気がすばらしいし、後味もいい。時間を忘れてこの世界にとっぷりと浸ることができます。
百番目の男
鋼鉄都市
物語の舞台は未来のニューヨーク。地球には宇宙人だけの都市もあり、人類は宇宙人とロボットのことを嫌悪していた。
星を継ぐもの
宇宙のどこかに人間と同じレベルの知的生命体が存在する可能性が高まり、科学者たちは興奮を露わにする。さらに調査を進める内に、次々と意外な事実が明らかになり、最後に予想外の正体が判明する。
シャッターアイランド
ロンググッドバイ
ポップ1280
あとがき
以上、16作を紹介しました。広く知られた名作ばかりで、今更感が強いですね(笑)。換言すればハズレがないとも言えるので、まだ読んでない作品があったら読んでみてはいかがでしょうか。
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