異色の主人公『霊柩車No.4』松岡圭祐

mikan

感想 ★★★★☆

霊柩車のドライバーを主人公にしたミステリ小説。葬儀業界の陰謀を暴くハードボイルドテイストのストーリーで面白く読むことができました。普段は知ることのない葬儀に関する蘊蓄が知れたのもよかったです。

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あらすじと内容

ミカン農家の経営者が海に転落して死亡する事件が起きて、その遺体を運ぶために霊柩車ドライバーの怜座彰光が登場する。怜座は遺体を一目見て殺しだと見抜く。被害者の娘、静香は遺体を火葬するまでの短い時間を怜座と過ごし、父親の死の真相を知ることになる。

最初に起こるこの事件はすぐに解決して短編小説のような感じです。この事件によって怜座がどういう人間か、そして霊柩車ドライバーがどういう仕事かを説明しており、この後に始まる本編に入りやすくなっています。

本編では女子アナ香織の婚約者が死亡して、その霊柩車ドライバーを怜座が務めます。婚約者は人気俳優で著名人ということもあって、葬儀の際に様々な問題が発生する。

大挙して押し寄せるマスコミ、遺灰からダイヤを作りませんかと提案してくる大手葬儀社。混乱する香織に怜座は的確なアドバイスを送る。

仕事に復帰した香織は入院患者と対談する企画で病院を訪問。そこで一人の少女と出会い、親交を深める香織。

ある日、香織はその病院の経営母体が葬儀社であると知り、キナ臭いものを感じる。葬儀社が儲けるために、わざと患者を死亡させている疑いが出て、香織は怜座に相談する。やがて二人に危険が迫り、彼らは巨大な陰謀を知ることになる。

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感想

こんな感じで物語は進んで行きます。これに怜座の過去の事件が加わり、最後にすべて解決するエンタメ度の高い作品となっています。怜座の過去が語られる回想シーンが少々長く感じられましたが、基本的にはスピーディーに展開していくので、一気に読むことができます。

続編を目論んだような終わり方が余分に感じたけれど、それ以外はよく出来ていて満足度の高い作品でした。後味もよくて、ほっこりします。

重厚な作品ではなくて、さらっと手軽に読めるタイプのエンタメ小説なので、ちょっと時間ができた時などに丁度いいですね。

霊柩車のドライバーが主人公の小説は、とても珍しいのではないでしょうか。業界のことが詳しく書かれているため、職業小説としての面白味もあります。知識欲が満たされ、ストーリーも楽しめるいい小説でした。おすすめです。

コメント

  1. Stella より:

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